大相撲7月場所では西前頭17枚目という新入幕の幕尻ながら、土俵を大いに沸かせた伯桜鵬。今年1月場所に幕下15枚目格付け出しでデビューしたばかりだが、現行制度では初となる1場所での十両昇進、さらには十両も2場所で通過した「令和の怪物」だ。7月場所からは四股名を落合から伯桜鵬に改名。前半戦で2敗したものの、その後は白星を重ねて千秋楽まで優勝争いに絡んだ。そんな伯桜鵬に弱点はないのだろうか。
7月場所では、大関取りがかかる関脇陣が昇進レースのプレッシャーから黒星を重ねて優勝ラインが下がり、10日目を過ぎても3敗を守る伯桜鵬は優勝争いの台風の目となった。12日目は小結・阿炎、13日目に2敗の錦木、14日目に2敗の北勝富士と対戦し、いずれも破って館内を大いに沸かせた。
千秋楽を迎えて優勝争いは3敗の豊昇龍、北勝富士、伯桜鵬の3人に絞られ、伯桜鵬は幕尻力士ながら大関昇進が懸かる豊昇龍との対戦が組まれた。
まだ髷が結えないザンバラ頭の伯桜鵬が「これより三役」に登場。豊昇龍に勝って優勝すれば、貴花田(のちの横綱・貴乃花)以来となる10代での優勝になるところだった。109年ぶりの新入幕優勝、史上最速の入門4場所での幕内優勝など、大相撲史を塗り替える快挙は目前だった。
千秋楽の土俵に上がった伯桜鵬は、仕切りの間、豊昇龍を睨み続けた。豊昇龍も睨み返し、両者とも一歩も引かない。仕切りのたびにそれが繰り返された。ただ、軍配が返ると左四つで右からおっつけようとするも、いなされた瞬間に投げを食らって右手を付いてしまった。相撲担当記者が言う。
「13日目の錦木戦、14日目の北勝富士戦でも仕切り中に相手をにらみつけていた。相手力士が豊昇龍のように応じなかったが、制限時間が来ると師匠の白鵬(現・宮城野親方)のように廻しをパンパンと叩いて気迫を全面に出す。デビュー直後から鋭い眼光で相手の先輩力士を睨みつけており、19歳とは思えません。自分の性格を“負けず嫌い”と言うぐらいですから、土俵では自然に眼光鋭くなってしまうのでしょう」