連日の記録的猛暑のなか、外出するたびにフラフラと「めまい」を感じることがあるだろう。それが暑さに負けたことによる一過性の症状なら休息を取ることで落ち着くはずだが、そのめまいの原因が別にあることもある。耳鼻咽喉科日本橋大河原クリニックの大河原大次院長が言う。
「めまいの原因の7割は耳の障害と言われます。めまいが起きると内科などを受診する患者さんが多くいますが、内科で抗めまい薬の点滴などで症状は落ち着いても、耳の病気が見過ごされ、突発性難聴などの治療開始が遅れる恐れがある。
『めまいが治ったら、耳が聞こえなくなっていた』というケースは実際にあります。めまいを感じたら、まず耳鼻咽喉科の受診を検討していただきたい」
めまいには視界がぐるぐる回る回転性のものや、身体がフワフワ揺れる感覚になる浮動性のものなどがある。耳の障害が原因のものは回転性のめまいで、身体のバランスを保つ内耳の三半規管に異常をきたすケースだ。川越耳科学クリニックの坂田英明院長が言う。
「三半規管に影響が出てグルグル回るように感じる回転性のめまいには、BPPV(良性発作性頭位めまい症)、メニエール病、前庭神経炎の3タイプがあります。三半規管に耳石というカルシウムの塊が入り込んで起こるBPPVは、放っておいても数分で収まることが多い。
一方、メニエール病のめまいは数時間、前庭神経炎は数日間続くのが特徴です。難聴や耳鳴り、嘔吐の有無などによって状況を判断し、診断・治療する必要があります」
手術しても「再発」する
なかでもメニエール病では、内耳にリンパ液が溜まり、むくむことで生じる内リンパ水腫がめまいの原因となる。罹患すると、耳鳴りや難聴を伴うめまいが繰り返し起き、数か月から年単位で難聴が進行するという。
メニエール病の治療法は、水腫を防ぐための利尿剤や、ステロイド薬などだ。
「第一選択のステロイド薬を使用する際は、副作用が出ないような注意が必要。症状の改善が見られれば、1週間後には量を一気に減らすか投薬を中止するなど、1~2週間の短期間で行なうことがポイントです。副作用を恐れるあまり、少量をダラダラと使うことは、かえって副作用のリスクを高める可能性が大きい」(大河原医師)