昨年7月、「新しい日大」という新たなキャッチコピーとともに組織改革を目指し始めた(時事通信フォト)

昨年7月、「新しい日大」という新たなキャッチコピーとともに組織改革を目指し始めた(時事通信フォト)

 私たちが思っている以上に、日大の“マッチョ体質”は根深いものがあるのだと思います。5年前、ワイドショーが連日、長尺で報道してきた、いわゆる「悪質タックル問題」の登場人物の男性たちを思い浮かべてみてください。特に相撲部出身だった当時の田中英壽理事長(76才)の存在感と威圧感はすさまじく、田中氏の“土俵”を覆すことは、そう簡単にはいかなかったはずです。

 世の中には、こういうタイプの男性とうまくやっていける男性も、そして女性もいらっしゃるものです。

 一方、そうした男性たちに反発したり、反旗を翻したりすることに、どれだけのエネルギーがかかるのか……。高い志を掲げて闘っていても、“マッチョな男性の尺度”によってさまざまなことが決定されていくことに嫌気がさしたり、気分が悪くなってしまったりした経験が、女性ならきっとあると思います。多くの女性がそこでなえてしまうのではないかと。女性の政治家の皆さんはまさにそういうかたが少なくないようにお見受けします。自分の信念を押し殺しても、力を持った男性とうまくやった方が出世できるのですからね。

 そういえば元理事長の田中氏は、奥さまにだけは頭が上がらない……なんていう報道もありましたっけ。そういうチャーミングな部分がほかの場面でもう少し発揮されていれば、あそこまでの事態にはならなかったような気もしました。

主語が「林真理子理事長」だからこそ世間が注目し今後の改革が期待される

 ま、はたから見ているだけなら何でも言えますね。ですが母校をこよなく愛し、日大の卒業生としての誇りを持たれていた林さんはそれらを「忸怩たる思い」で見ながら、理事長職に就く決意を固められたのです。

 私は「エンジン01文化戦略会議」という団体に林さんのご紹介で入れていただき、この十数年、林さんがリーダーとなって、どれだけ多くの活動をされてきたのかを近くで拝見してきました。ズルイことをしない人、ちゃんと汗をかく人だとも思っています。抜群のリーダーシップと軽やかなフットワークで、とにかく常に行動されている。ご存じのかたも多いと思いますが、理事長に就任する際には、人気連載を何本も降板し、毎日出勤し、懸命に改革に取り組んでいらっしゃいました。そういう姿をよくご存じの三谷幸喜さん(62才)や古市憲寿さん(38才)らが『情報7daysニュースキャスター』(TBS系)や『めざまし8』(フジテレビ系)で林さんのフォローをされていたことに少しホッとしました。

 でも大半の“おっさん”たちは、“女性”“理事長”の林さんに何か言いたかったのでしょうね。8月2日、寮内に違法な薬物があったというのは「まだ確認されていません」と林さんがコメントしたVTRは、いわゆる“キリトリ”にあって、ワイドショーやニュースなどで何度流されたかわかりません。

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