アメリカンフットボール部員の違法薬物問題で揺れる日本大学。林真理子理事長の対応や今後の改革への期待について、コラムニストで放送作家の山田美保子さんが綴る。
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日本大学は8月10日、覚醒剤取締法違反(所持)と大麻取締法違反(所持)の疑いで部員が逮捕されたアメリカンフットボール部の無期限活動停止処分を同日付で解除。逮捕された部員1名のみを無期限活動停止処分とすると発表しました。
5日に発表されていた「処分」は、わずか5日で「解除」。「個人」の犯罪を「連帯責任」とするのは、「競技に真剣に取り組んできた多くの学生の努力を無に帰する」「学生の成長を第一に願う教育機関として最善の措置ではないと判断した」とのことです。
この発表に対しては「甘い」という批判が少なくないものの、一方で当初から「連帯責任は理不尽」という声もあったのです。私は後者だったのですが、アメリカンフットボールの関東学生連盟は日大を当面の間、「出場資格の停止」に。9月2日に予定されていた法政大学との関東大学リーグ1部上位「TOP8」開幕戦は中止となりました。
いろいろとモヤモヤは残るものの、こうしたスポーツ紙の記事やニュースの主語がやっと「林真理子理事長」から「日本大学」に戻ってくれた……と安堵したのも事実。週末の情報番組ではまた、あらゆる方向から林さんに批判が集まってしまうのですが……。
2022年、女性で初めて日本大学の理事長に就任した林真理子さん。日大の“マッチョな体質の改革”を挙げ、女性を積極的に登用されてきました。就任1年後の今年7月の会見では「6割の改革が進んだ」と報告した林さん。日大のジェンダーギャップの解消には特に積極的でいらして、全員男性だった(!)理事が、24人中8人の女性理事に代わったのです。外部からブレーンを積極的に採用していらしたし、秘書室職員による役員への“お茶くみ”を廃止に。女性職員に大不評だった和式トイレを洋式に“改革”したのも林さんでした。そんな矢先にアメフト部員が逮捕されてしまったのです。
8日の会見で「6合目からかなり後ずさりしたという感は免れません。(中略)けれど、これを大きな契機と考え、ここで体力をつけて、また一気に7合目まで登っていきたいと思っております」と前向きに語った林さん……さすがだと思いました。
ただし、学校運営ではない“競技スポーツ”には「遠慮があった」ともおっしゃっていましたね。理事長職にはあるけれど、権限が100%ではないということです。そんな林さんについて「お飾り」とか「蚊帳の外」と報じるメディアもありました。その大半は、いわゆる“おっさんメディア”です。私が読んだ夕刊タブロイド紙には、「素人」「何も期待していない」という“日大関係者”のコメントが記されていました。ほんと、イヤ〜な感じですよね。