警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、元極妻が告白する刺青を入れた理由と後悔について。
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日本全国で花火大会や祭りが再開したこの夏、観光地として有名な関東近郊の温泉地では、客足が戻り多くの客が訪れていたという。中にはインバウンドで外国からの観光客が押し寄せていた宿もあったようで、そんな宿に泊まった友人は、手足にタトゥーを入れた観光客が、遠慮なく温泉に入浴してくることに困惑したらしい。
「風呂場の前には刺青やタトゥーを入れている者の入浴は禁止と注意書が貼ってあるのに、彼らはお構いなしだ」
日本の浴場などでは、暴力団対策として以前から刺青やタトゥーを入れている者の入浴を禁止している所が多い。だが昨今、日本人だけでなく外国人のアスリートやアーティストにもタトゥーを入れている者を見かけるようになった。彼らにとってタトゥーはファッションでもあり、それによって入浴を拒否されなければならないという認識はない。
タトゥーとヤクザの刺青は似て非なるものだ。ヤクザの刺青は体に「墨を入れる」といい、極道として生きていく覚悟であり、カタギの世界にはもう戻らないという決意であり、二度と戻れないという決別でもある。刺青を入れるか入れないかは基本的には本人次第、どのようなデザインを選ぶかも個人の自由だが、体に針で傷をつけていくのは激痛を耐えなければならず、「我慢」とも呼ばれている。
今は刺青でも電気針が増え、痛みもだいぶ軽減したと聞くが、彫師による手彫りは我慢の限界ギリギリの痛みらしい。1日に2~3時間が限度で、人によっては発熱し腫れあがることもある。あまりの痛みに耐えかねて「筋彫り」という輪郭だけ終わってしまったというヤクザもいるほどだ。
温泉宿での話を聞き、ある背中を思い出した。ひと昔前、ある温泉宿でヤクザ顔負けの刺青を背負った、極道の妻の背中を見せてもらったことがある。