春夏通じて37回の甲子園出場を誇る高校野球の強豪・星稜高校(石川県)。今夏の甲子園では初戦敗退となったが、あの松井秀喜氏をはじめ、奥川恭伸(現ヤクルト)や島内宏明(現楽天)ら数多くのプロ野球選手を輩出した北陸の雄である。
「星稜は中高一貫校で、中学時点で全国から優秀な野球部員が入ってくる。彼らの多くが星稜高校野球部に進学してまた野球漬けの生活を送ります」(スポーツ紙記者)
星稜の輝かしい甲子園の実績は、一貫校の強みでもある「中学からの育成」によるところが大きいが、その星稜中学野球部で騒動が起きていた。
「監督のX氏のパワハラで部員の退部が相次いでいるのです」──そう話すのは事情を知る保護者の一人。
「星稜中学の軟式野球部は全国有数の強豪校で、チームを率いるX監督は星稜高校野球部OB。2022年に就任してさっそく全国大会出場に導くなどその手腕は見事です。ただ、あまりに指導が厳しく、ミスをした部員に対して『死ね!』『消えろ!』などの暴言が飛び交っている。スコアブックを投げつけたり、『絞め殺すぞ』と脅された部員もいたといいます。こうした指導で病んでしまう子が後を絶たないのです」(事情を知る保護者)
退部した部員のなかには、少年野球時代から注目され将来を期待された選手もいたという。
「Y君がまさにそうです。小学校時代から上手くて逸材と評判でしたが、監督と合わずに辞めることに。義務教育期間なので部活を辞めても学校を辞めるわけにはいきません。退部した子のなかには、野球部の活動を見ると動悸が激しくなる子もいるそうです」(同前)
退部した部員の保護者の一人に話を聞くと、「言いたいことは沢山ありますが、いまはただ真実が公になることを祈るだけです」と話した。前出・事情を知る保護者が語る。
「この問題は保護者側から学校にも報告しているのですが、X監督に簡単なヒアリングをしただけで処分はなし。6月には地元の教育委員会と県庁に調査を求める嘆願書を送る保護者も現われた。しかし、事態が改善したという話は聞きません」
本誌・週刊ポストが入手した嘆願書には、X監督の日頃の言動を書き記した上で、〈星稜というブランドに目を奪われ夢と希望をもって入学してくる生徒にとって悲惨な現状です〉〈一日も早くこの現実を把握していただき改善を切に願います〉と悲痛な言葉が並ぶ。