日曜劇場『VIVANT(ヴィヴァン)』(TBS系)がスリリングな展開で話題を呼び、回を重ねるごとに視聴率を上げている。初回は11.5%で発進すると、第2話は11.9%、第3話は13.8%。第4話は13.4%と推移していくと、8月15日放送の第5回は前回から0.8ポイントアップし、番組最高を更新する14.2%を記録した(数字は関東地区、ビデオリサーチ調べ)。配信の再生回数も多く、視聴率の数字以上に話題となっている。
堺雅人(49)、阿部寛(59)をはじめ、二階堂ふみ(28)、役所広司(67)、二宮和也(40)、松坂桃李(34)ら豪華キャストが次々登場することも話題の的。そんななか、ひときわ異彩を放つのが、主人公・乃木(堺)の上司・宇佐美部長役を演じる歌舞伎俳優の市川猿弥(えんや・56)だ。芸能関係者は言う。
「宇佐美部長は、第1話目の時点では誤送金の犯人を乃木だと疑い、激しく怒鳴り散らしていたものの、第5話で乃木の容疑が晴れると途端にオドオドしてしまい、そのギャップが話題になりました。
猿弥さんはほぼドラマ初出演ながら、迫力ある演技を見せる大物たちのなか、あえて小市民的なキャラを絶妙な案配で演じています」
猿弥は、二代目市川猿翁(83)の愛弟子として、歌舞伎界では知る人ぞ知る存在だった。梨園関係者はこう言う。
「一般家庭の出身でありながら、二代目猿翁の部屋子に抜擢されました。確かな腕と愛嬌で重厚な古典からコミカルな役までこなせる、まさに万能型の歌舞伎役者。坂東玉三郎(73)や市川團十郎(45)ら大物歌舞伎役者からも好評を得る“愛されキャラ”の人気者なのです」
ただし、猿弥が属する澤瀉屋(おもだかや)は今、窮地に立たされている。市川猿之助(47)は一家心中事件により復帰は絶望的、猿翁の実子である市川中車(香川照之=57)も性加害報道でテレビからは “追放状態”にある。そんななか、猿弥の存在が一門の“希望”となっている。
「中車さん、猿之助さんはともに日曜劇場の『半沢直樹』でスターになりました。まして今作は『半沢直樹』と同じ福澤克雄監督の作品ですから、抜擢された猿弥さんにはすでに他局のドラマ関係者の間でも注目が集まっていると聞きます。これを機に、ドラマへの露出が増えていくのではないか。スキャンダル続きの歌舞伎界にとって、新たなスター誕生への期待が高まっています」(同前)
ポスト香川照之・市川猿之助の有力候補。ただし、その後のスキャンダルまで踏襲しないように。
※週刊ポスト2023年9月1日号