1980~1990年代のテレビ黄金期を支えた日本テレビのレジェンドアナ3人(永井美奈子、松本志のぶ、馬場典子)が再会。これからの日テレを支える後輩アナウンサーに何を思うのか──。(司会・構成/放送作家・山田美保子)【全4回の第4回。第1回から読む】
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──後輩アナウンサーについて思うことはありますか?
永井:私たちの頃とちがって、いまは日テレでも「元○○」と前歴があるアナウンサーが増えていますよね。それに何だかみんな芸達者で(笑)。学生時代に芸能活動をされていた岩田絵里奈さんはタレントの物真似が天下一品!
馬場:小高茉緒さんのカラオケを聴いたことがあるんですけれど、本当に上手でした。みんなちゃんと一ネタもっているんですよね。私たちの頃みたいに『サライ』や『負けないで』『ランナー』だけじゃない。驚きました。あと郡司恭子さんが番組内で料理上手なお父様のレシピを紹介したり。発信の仕方が新しくて頼もしいです。
松本:私たちの頃は“表に出ている黒子”というスタンスだったんですけど、いまの子たちは黒子にもなるけれど役者にも芸人にもなれる。
永井:デジタルネイティブで小さい頃から自分を出すことが当たり前の年代だからかもしれません。
馬場:私なんてスマホで自撮りをするのも恥ずかしくて。仕事の後、スタイリストさんが衣装姿を撮ってくださるんですが、上手にポーズをとることもできません(苦笑)。アナウンサーは情報の伝え手であって、自分を伝える仕事ではないという教育を新人時代にみっちり受けたことも関係しています。ただ、自分にとってそれは良かったことだと思っています。
永井:私たちより前にはアナウンサーが天職というべき職人気質な先輩たちがたくさんいらして、普段の服装にもとても気を付けていらした。何か突発的なことがあったとき、Tシャツとジーンズ姿では現場に出られません。そういえば先輩方はいつもジャケットをお召しになっておられた。色々と時代を感じてしまう今日この頃ですね。
松本:時代といえば、私の同期の娘が入局していました(笑)。
馬場:え~~~ッ!
永井:最近は現場に入ると、みなさん子供たちの世代。同期はみんな役職に就いているのに私はいつまでもペーペー(苦笑)。でも、地味で体育会系の日テレのアナウンサーだったことはずっと誇りです。
松本&馬場:同感です。
(了。第1回から読む)
【プロフィール】
永井美奈子(ながい・みなこ)/1965年生まれ、東京都出身。1988年に日本テレビ入社。『マジカル頭脳パワー!!』2代目司会、『24時間テレビ』総合司会など多数の番組に出演。現在はフリーアナウンサーとして活動するほか、クラシック音楽のフェスティバル「音夏(おんなつ)」のプロデュース。成城大学非常勤講師、日テレ学院講師を務める。
松本志のぶ(まつもと・しのぶ)/1969年生まれ、静岡県出身。1992年に日本テレビ入社。『24時間テレビ』総合司会、『行列のできる法律相談所』、『ズームイン!!朝!』、五輪現地キャスターなどを担当。現在はフリーアナウンサーとして活躍するほか、クラッシックコンサートの司会、絵本の朗読劇にも出演。報知映画賞の選考委員、洗足学園音楽大学客員教授を務める。
馬場典子(ばば・のりこ)/1974年生まれ、東京都出身。1997年に日本テレビに入社。『ZIP!』『ザ!世界が仰天ニュース』、『キユーピー3分クッキング』など情報からバラエティまで数多くの番組を担当。現在はフリーアナウンサーとして活躍し、『あさイチ』(NHK)、『歌謡プレミアム』(BS日テレ)などに出演中。大阪芸術大学放送学科教授を務める。
※週刊ポスト2023年9月1日号