堺雅人主演で話題の夏ドラマ『VIVANT』(TBS系)。大きな盛り上がりを見せる中、さまざまな新現象に注目が集まっている。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが“新たな動き”について解説する。
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今夏ネット上で最大の話題作となっている『VIVANT』(TBS系)。序盤は、堺雅人さん、阿部寛さん、二階堂ふみさん、松坂桃李さん、二宮和也さん、役所広司さんら主演級キャストのそろい踏みや、約2か月半にわたるモンゴルロケなどのスケール感をベースにした“アドベンチャードラマ”として話題を集めていました。
しかし、中盤に入るとスケール感を残しつつも、様相が一変。「誰が味方で誰が敵か」「何が真実で何が嘘なのか」など謎だらけの“考察ドラマ”となり、ネット上には視聴者の考察が飛び交いはじめました。ただ、『VIVANT』の考察は視聴者に留まりません。
これまで長編ミステリーなどで行われた考察は、視聴者がSNSでつぶやくものがほとんどであり、その他は数人のライターやYouTuberによる考察記事や動画があった程度で、それほど存在感がありませんでした。ところが『VIVANT』では、「スポニチアネックス」「ニッカンスポーツ・コム」「デイリースポーツonline」などのスポーツ新聞系や、「ORICON NEWS」「MANTANWEB」「ENCOUNT」などのエンタメ系のウェブメディアが次々に考察記事をアップしているのです。
視聴者がSNSに書き込んだ考察をピックアップして記事を書くだけでなく、そこから独自の考察に結びつけようとする記事も少なくありません。なぜこれらのウェブメディアは、考察がハズれてしまうリスクがあるにもかかわらず、積極的に考察記事をアップするようになったのでしょうか。
「放送終了後」が最も盛り上がる背景
『VIVANT』は第1話から第5話の累計無料配信総再生数(TVer、TBS FREE)がTBSドラマ史上最速で2000万回を突破。これ以外でもU-NEXT有料会員の配信再生が全ジャンルにおける週間ランキング1位を記録したほか、X(旧ツイッター)の世界トレンド1位を獲得し続けるなど、ネット上の反響は今年のテレビ番組トップと言っていいでしょう。