モンゴルでは、3000頭以上の馬やラクダ、羊も撮影に“参加”しており、乗馬シーンも多かった。そのため、乗馬指導を行うスタッフも日本からロケに同行したという。
「モンゴルロケの話をいただいたのは、堺さんからでした」と話すのは、時代劇や大河ドラマでの馬術指導で知られる乗馬クラブ「ラングラー・ランチ」代表の田中光法さんだ。堺とは『真田丸』(2016年)、阿部寛とは『坂の上の雲』(2009年、ともにNHK)のときにも指導を担当した。
「堺さんや二階堂さんは、モンゴル行きの前に猛練習をされていました。二階堂さんは動物に対する愛護精神が強く、当初は馬に乗ることさえかわいそうだと躊躇していたんです。でも、ぼくらが力と恐怖で調教しているわけではないことを説明したらきちんと理解して、真摯に馬に向かい合っていました。
日傘をさすと驚く馬もいるので、二階堂さんはほかのスタッフさんが日傘を持ってきても、断って、馬の背を優しくなでていましたね。ラストカットのときには寂しがって、馬の首に抱き付いて写真を撮っていました」(田中さん)
今回のロケでは、馬だけでなく、ラクダに乗るシーンも登場した。
「プロデューサーから冗談交じりに “ラクダの調教もお願い”と言われたのですが、さすがに専門外なのでお断りしました(笑い)。でも堺さんは“乗馬の技術をちゃんと教わっていたからラクダにも通用する部分がありました”なんて言っていて、すぐに乗りこなしたそう。すごいなと思いましたね」(田中さん)
本来であれば、馬の調教には年単位の時間を要するが、田中さんはモンゴルの野生に近い馬をわずか1か月で撮影ができる状態に仕上げた。プロの仕事が、壮大な作品を裏で支えているのだ。
「実はバリバリの関西人です」
モンゴルだけでなく、国内でも大掛かりなロケが行われている。第5話では、乃木のルーツが「たたら製鉄」の御三家にあることが明らかになり、島根県奥出雲町の実家に辿りつく。
「奥出雲の重要文化財・櫻井家住宅や、松江市の本庄小学校などで撮影し、多くの地元民もエキストラとして撮影に参加しました。
ここでは、乃木のルーツに迫るシーンを撮影したのですが、実は堺さんのお母さんは隣町の出雲市出身で、奥出雲町には小さい頃からよく遊びに行っていたそうですよ。堺さんが本当に故郷に帰ったかのような思いで演技ができるように考えられたのかもしれません」(前出・テレビ局関係者)