「私の整形は親に同意書をもらうことがスタートでした」──そう話すのは10年間で総額1200万円をかけて美容整形し、現在は“整形アイドル”としてYouTubeで発信を続ける轟ちゃん(30才)。
「当時は18才で未成年だったから、親のサインをもらわなければ施術を受けられない。二重まぶたの手術でした。親は渋々という感じでしたが、私が昔からずっと整形したいと言い続けているのを知っていたから、次の日には承諾してくれました。
整形を決意したきっかけは中学生のときに容姿のことでいじめを受けたから。『目つきが悪い』『にらんでる』って言われて。前を向いて歩けないくらい、自分の顔に自信が持てないことが人生においてマイナスの要素になっていたんです」
轟ちゃんが人生をマイナスからプラスに転換するために整形を決意した一方、年を重ねた女性は人生を「巻き戻す」ために手術台に上がる。昨年フェイスリフトの手術を体験した美容・医療ジャーナリストの海野由利子さんはこう話す。
「美容医療に求めるものは世代によって大きく異なります。20代くらいまでは顔のパーツや輪郭を変えて、『見た目も人生も変えたい』と考える人が多いのですが、40代以降の患者さんの場合は、顔立ちや個性は変えず『何年か前の自分に戻したい』という気持ちが動機の方が多い」
20年以上にわたって整形を繰り返してきた作家の中村うさぎさん(65才)も、「年代によってもたらされるものが変わった」と振り返る。
「40代で豊胸したときには、すれ違う男性の視線が胸に集まるのがわかったし、実際にモテた。それで、調子にのっちゃったという面もある(苦笑)。だけど10年前に病気をしてからばったりとその世界から遠ざかりました。せっかく豊胸した胸も、病気で体形が変わって服が入らなくなったからシリコンを抜いてしぼませてしまいました」
一時期は車椅子生活のうえ、うつ状態で引きこもり気味だったと話す中村さんだが、最近体調がよくなってきて、外に出て友人と会えるようになったという。
「すると10年間鳴りを潜めていた整形したいという気持ちが復活してきたんです。いままで会う男性といったら、夫か宅配便のお兄さんくらいだったけれど、外に出て集団に身を置くとそれまで気にしなかった外見が気になるようになってきて、久々に整形してみた。施術を受けてきれいになると、外に出て人に会いたくなるし、活力も湧いてきて新しい色の服も着てみたくなる。65才のいま、整形によって手に入った大切なものは美しさより社交性と健康だったと気づきました」
日本美容外科学会理事長で北里大学医学部形成外科・美容外科学主任教授の武田啓さんも「美容と健康には相関関係がある」と声を揃える。
「実際に80代の女性がアンチエイジングの施術を受けたらアクティブになったという例がある。見た目がよくなると体調もよくなると言えるでしょう」
※女性セブン2023年9月7日号