ニュースやゴシップを女3人であれこれ話すのも楽しいですね。会社員としてもきちんと出世していっている中瀬は、とてもバランス感覚に長けていて世間一般の常識や普通の人ならどう考えるかを教えてくれる。西原は、とにかくクリエーティブで独創的だから「その手があったか!」と驚く、思いもよらない「裏の手」を思いつく。どちらも自分にはない才覚で、両方を「合わせ技」として聞ける私は得だなぁといつも思っています(笑い)。
2人がツッコミなら私は徹底したボケで、バランスがよく居心地がいい。
とはいえ、3人のつきあいには偏りも生じます。ケーキをきっちり3等分するのが難しいように、2人にまったく均等に接するのは無理。でも、西原と旅行に行ったら次は中瀬とご飯するなど、ざっくりと平等になるよう心がけています。それに「これしきのことじゃ西原も中瀬も私から離れていかない」という自信があるから、トラブルやもめ事とは無縁です。
女同士ってよく、「将来は同じ老人ホームに入ろう」と盛り上がるけど、あれはやめた方がいいですね。そりゃ3人でいれば楽しいだろうけど、一緒に暮らしたら距離感の近さで関係が壊れる。別々に住んで定期的に会い、バカ話をしておいしいご飯を食べる方が私たちの性に合っています。
あと、意外と重要なのが男の趣味が被らないこと。3人でホストクラブに行っても見事に気に入る男が全然違うから、取り合いにもならない。友達だからといって趣味趣向は一致していなくてもOKで、むしろ違う部分がある方が望ましい。価値観が違う方がうまくいくこともあるので、友達ができない人は、思い切って苦手な人に近づいてもいいんじゃないでしょうか。
【プロフィール】
岩井志麻子(いわい・しまこ)/作家。1964年、岡山県生まれ。1999年、短編『ぼっけえ、きょうてえ』で第6回日本ホラー小説大賞を受賞。また、同作に書き下ろし3編を加えた同題の短編集で第13回山本周五郎賞を受賞。近著は『煉獄蝶々』(KADOKAWA)。
※女性セブン2023年9月14日号