「女の敵は女」「いい恋愛をするのがいい女の証」「友情より恋愛」。そんな風潮はいまや昔。女性同士で助け合ったり、絆を深めようとする「シスターフッド」と呼ばれる概念が注目されている。作家・岩井志麻子さん(58才)が親友について綴る。
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昭和39年生まれ・バツイチ・海が近い西日本出身──私が仲よくしている女たち、漫画家・西原理恵子(58才)と新潮社の名物編集者・中瀬ゆかり(59才)とはこんな共通点があります。
私は岡山、西原は高知、中瀬は和歌山と全員西日本出身。
海が近いと、普段はサボっていてもいざとなったら銛を片手に飛び込んで行く「お父ちゃん」の姿を見ていたりするからダメ男を容認できるようになる。ダメ男好きというのも3人の共通点の1つですね (苦笑)。
あとはやはり、同い年には特別な感情があり、学校は違っても同じ時代を生きたという連帯感がある。当時流行った漫画や音楽、好きな芸能人の話で盛り上がれるのは、かけがえのない楽しみだと思います。
私たちは豪快で社交性があってガハハハと笑うイメージがあるかもしれないけど、実はけっこう人見知りで、世間の見方とは裏腹にどこかおどおどして乙女チックなところがあります。お互いにそれがわかっているから何かあった場合、「友達だから何でも話して」と急き立てるのではなく、「言いたいことがあるなら聞くよ」という受けの姿勢で聞き役に徹します。
過去には私も「これはシャレにならん」という悩みを西原や中瀬に相談しました。内容によって相手は変わりますが、2人とも「志麻子はどうしたいの?」「何を望んでいるの?」とちょうどいい距離感で話を聞いてくれました。