今、エンタメ作品で増えている設定が「○周目の人生」だ。ドラマや映画ではタイムリープなどにより、主人公が人生をやり直すことでさまざまなストーリーが展開していく。なぜこうした作品が増えているのか? その背景と危うさについてコラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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2日放送の第7話からドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(日本テレビ系)の第二章がスタートします。
同作は主人公の教師・九条里奈(松岡茉優)と鳳来高校3年D組の生徒30人による学園ドラマですが、そのストーリーは異色。九条は卒業式の日にD組の誰かに突き落とされ、「死んでしまう」と思った瞬間、目を開けると1年前の始業式に戻っていた。九条は生徒に殺される未来を変えるために覚悟を決めて数々の問題と向き合い、2度目の1年に挑んでいく……。
つまり教師の九条は「2周目の人生を生きている」というコンセプトの作品なのですが、第5話の終盤で生徒の鵜久森叶(芦田愛菜)も2周目の人生だったことが発覚。しかし、鵜久森は2周目の人生でもけっきょく死んでしまうところで第一章の幕が閉じました。
『最高の教師』はスタート時から、「誰かに突き落とされてタイムリープし、2周目の人生がはじまる」という設定が、漫画・アニメ・映画のヒット作である「『東京リベンジャーズ』とほぼ同じ」と言われていました。
さらに、同じ日本テレビで今年1~3月に放送された『ブラッシュアップライフ』も「○周目の人生」がコンセプトの作品。けっきょく主人公の近藤麻美(安藤サクラ)が5周目の人生を生きるまでの姿が描かれました。
なぜ現在のエンタメシーンでは、「〇周目の人生」を描こうとするのでしょうか。
定番の「タイムリープ」から派生
まず把握しておかなければいけないのは、「○周目の人生」というコンセプトは、タイムリープの見せ方を変えたものであること。タイムリープは、入れ替わり、憑依、超能力などと並ぶファンタジー作品の定番設定であり、昭和のころから多くのドラマが放送されてきました。
なかでも、「最も多い」と言われているのが、タイムリープを扱った作品。だからこそタイムリープそのものではなく、「○周目の人生」という意味合いをフィーチャーすることで、見せ方を変えている様子がうかがえます。