杉良太郎(写真右)

現場を見て実践することを徹底し、さまざまな活動で全国を飛び回る杉

「1980年代の“金妻(ドラマ『金曜日の妻たちへ』)”ブームで東京と神奈川をつなぐ『田園都市線エリア』の生活スタイルが脚光を浴び、若い子育て世代がこぞって移住してきました。近い将来、その世代が後期高齢者になると一気に高齢化が進むので、その時どうするか。幸せに長生きするために県民の皆さんには、なるべく健康な状態でいてほしい。神奈川県では食・運動・社会参加を3本柱とした未病対策に取り組んでいます」

 黒岩知事はそう語り、健康と病気の間を未病と捉え、病気の予防ではなく、より健康へ近付けることが「未病の改善」だと説明した。

「未病の改善の3本柱でも社会参加が特に重要だと考え、神奈川県では高齢者劇団を作りました。60才以上を対象に現在は横須賀市と綾瀬市、小田原市にあります。県営の団地にはコーラスグループができています。ドレスアップしてステージに立つ姿を家族に見守られると、皆さん、とても輝いている。寿命が延びたようにも見受けられます。参加者が目に見えて元気になられるので、杉さんのダンスの取り組みには大賛成です」

 黒岩知事が楽しそうにシニア公演の感想を語ると、杉も満面の笑顔に。グイッと身を乗り出して、しきりに頷きながら熱心に聞き入った。

「ダンスや演劇、コーラスといった活動が生き甲斐へと繋がっていく。社会参加の望ましいあり方だと思います。以前、神奈川県の発達障がい者の施設を支援していたことがあり、芸術方面に天才的な子が多かったことを思い出しました」(杉)

 杉は、10代の頃から福祉活動に勤しんできたことで知られる。日本のみならず世界中で慈善公演や孤児院、障がい者施設への援助などを精力的に行い、数十億円もの私費を投じてきた。

 問題解決のプロセスや取り組みに共通点も多く、懇談を終えると杉は充実した表情を見せた。そして、これからもまっすぐ現場に向き合い、よりよい未来へ導きたいと誓った。

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