臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、似ていると話題のMLB大谷翔平選手(29才)とNBA渡邊雄太選手(28才)について。
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世の中には自分によく似た人が3人いるという通説があるが、見る度によく似ていると思う2人がいる。メジャーリーグ、エンゼルスの大谷翔平選手とNBAのフェニックス・サンズに所属している渡邊雄太選手だ。そう思われた人もきっと多いことだろう。
7月中はトレードでエンゼルスから放出されるか否かが注目された大谷選手は、現在、44本の本塁打でア・リーグのホームランランキングのトップを走る。右ひじ内側側副靭帯損傷で投手としての登板は回避、9月4日と5日は右脇腹の痛みで欠場しているが、せめてホームラン王にはなってほしいと願うファンは数限りなく、彼の動向は連日ニュースになっている。その大谷選手によく似ているとネットなどでもささやかれているのが渡邊選手だ。
FIBAバスケットボールワールドカップ2023では、予選で世界ランク24位のフィンランドに劇的勝利して以降、日本中を熱中させた日本代表チームの大黒柱として、活躍した渡邊選手。ベネズエラとの激闘にカボベルデとの最終戦、48年ぶりにパリ五輪の出場権を獲得するまでの試合で見せた真剣な眼差しと表情、リーダーシップも発揮して他の選手たちを鼓舞し続けた姿は、第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC )で侍ジャパンの一員として戦っていた時の大谷選手の姿と重なって見えた。
顔形だけでなく高身長、がっちりしていながらスラリとした足長の体形が似ている2人は、表情の作り方や笑い方、チームメイトを鼓舞する時の腕の挙げ方や雄叫びを上げる時の仕草までよく似ていた。顔が似ているのだから笑い顔が似るのも当然なのだが、屈託のない明るい笑顔は本当にそっくりだ。2人ともに、画面を通じて見えてくる人柄は真面目でストイックながら、明るくて朗らかなものだ。共にメディア対応には慣れているだろうが、勝利した試合後のインタビューでは大谷選手の方がいくぶん落ち着いた話し方で、渡邊選手の方は熱を帯びた語り口になっていた印象がある。