夫や妻に秘密で見知らぬ異性と会う──その機会と場所を提供する“既婚者合コン”が、密かな話題になっている。インターネットで検索すると、該当キーワードが約200万件以上ヒットし、開催日を調べると、全国各地で毎日行われているほど盛況だ。参加者たちは一体何を思うのか──その“リアルな声”をお届けするべく、実際に記者が参加してみた。
「既婚者合コンに潜入せよ」。そう命じられたときは、そんなふしだらな催しがあるのか、と思った記者(49才・既婚。中学生と高校生の子供が2人)。きっと秘密裏に行われているのだろう。どうやって潜入先を探すかが問題だわと思いきや、インターネットで検索すると、「キコンパ」「ミモザ」「ブリリアント」など、20件以上の主催会社が表示され、実に堂々と開催されていた。
「ここ5年くらいで急激に主催会社が増えたようです。中には、女性を美人局にするような会もあるようなので、どの会社の合コンに参加するか見極めることが大切です」
とは、男女関係に詳しいノンフィクションライターの亀山早苗さん。「自社開催」「身分証提示」「参加人数10人以上と多い」「違約金の規約の有無(途中退席で罰金5万円の会社も)」などが選ぶ際のポイントになるという。
記者は、設立して16年と業界内では古く、100%自社主催をうたう「キコンパ」をチョイス。ホームページで「開催されている主要都市」「行ける日」「性別」「年齢」を入力すると、「40代・50代エリート男性集合」「筋肉に自信&筋トレ好きな頼れる男性集合」など、さまざまなテーマの合コンが表示される。毎日開催されているのでイベントの数が多い。
記者は参加者の年齢層が30~50代と幅広く、参加人数が80人(男女各40人ずつ)と多い土曜13時からの会を予約。これなら、一度にさまざまな人に出会えるだろう。
参加費は男性が1万500円、女性が1500円だが、割引期間中に予約したため、女性は無料。ラッキー!
清潔感あふれる男性、カジュアル主婦が集う
会場は都内にある高級ホテルのパーティールーム。合コンなんて25年ぶりだ。しかも通常の合コンと違い、女友達がいない、ひとりでの参加。緊張する。入り口で運転免許証を見せると、スタッフから、
「ここに座ってください」
と、8人掛けのテーブルに案内される。男女4人ずつ向き合って座れるようになっているのだが、女性より男性の参加者の方が多く、男性4人、女性2人の席もあった。見渡すと、ほとんどがひとりで参加しているようで、少しホッとする。
食事は軽食が出され、飲み物はアルコールもソフトドリンクも飲み放題。記者がバーカウンターで白ワインを受け取り席に戻ると、目の前に40代と思しき男性2人が座っていた。聞けば広告会社の先輩と後輩。どうせ飲みに行くなら女性がいる場所がいいと、よく既婚者合コンを活用しているという。
「開始2時間前でも空いていれば予約できる気軽さがいいんです」
と笑う。2人とも清潔感あふれるスーツ姿。ワイシャツにはアイロンがかけられ、靴も磨かれている。身だしなみに妻の目が光る既婚者は、こういう部分がしっかりしている。結婚指輪ははずしていた。