推定患者数が4300万人とされる「高血圧」と推定患者数が580万人にのぼるという「腰部脊柱管狭窄症」。いずれも中年以降の厄介な身体の悩みだが、血圧と痛みには関係性あると「ミスター血圧」こと渡辺尚彦医師(日本歯科大学内科客員教授)が指摘する。
「意外に思われるかもしれませんが、身体の痛みと血圧は切っても切れない関係にあります。人がストレスや痛みを感じた時に活発になる交感神経は、末梢血管を収縮させて心拍数を上げ、心臓からの血流量を増やし血圧を上昇させる。一時的だとしても脊柱管狭窄症などの痛みは血圧を上昇させる原因となるため、逆に、その痛みを緩和することで血圧降下につながりやすくなります」
ストレッチや日常動作による改善に加えて、即効性を期待できるのが「ツボ押し」だ。鍼灸師・整体師のとも先生が言う。
「東洋医学のツボは、体内をつなぐように巡る経絡上にあります。そこを押さえることで刺激が伝わって、ツボから離れた場所にも影響を及ぼします」(以下「 」内コメントはとも先生)
血圧にいいツボと脊柱管狭窄症にいいツボは身体のいたるところにある。双方の位置を認識しておけば効率的にツボ押しができる。まずは、首・肩周辺。
「首の前側、喉仏から指の幅2本分外側の、頸動脈が拍動する場所にあるのが血圧のツボ・人迎。近くに星状神経という交感神経が集まるところがあり、そこを刺激することで血圧を安定させると考えられます」
背中側は血圧にいいツボが多い。
「髪の生え際付近、頸骨の両外側にある天柱は自律神経の安定に効果的で血圧改善が期待できます。首の付け根と肩先の中央部にある肩こりのツボ肩井は、全身の血流が良くなります」
脊柱管狭窄症に効果的なツボは、肩から少し下の背骨辺りに並ぶ。
「背骨の際に沿ってある夾脊は、全部で17対、34穴あります。狭窄により圧迫を受けている箇所の血流を促進し、症状の改善が期待できます」