YouTuber事務所UUUMが、広告関連システムを手掛けるフリークアウト・ホールディングスに買収されることが公表され、話題となっている。UUUMといえば、人気YouTuberであるヒカキンやはじめしゃちょー、フィッシャーズ、東海オンエアなどが所属することで知られる業界最大手だが、なぜ買収されるのか。背景にあるYouTuberビジネスの変化について、SNS業界に詳しい成蹊大学客員教授高橋暁子さんに聞いた。
* * *
UUUMの2023年5月期の売上高は前期比2.1%減の230億8700万円。営業損益は1億9500万円の赤字、当期純損益は10億5300万円の赤字となっている。
同社は2023年に入って以降、4月と7月の2回にわたって業績予想を下方修正していた。その際、いずれも「YouTubeショートの再生回数増加に伴い、通常の動画の再生回数が想定を下回った」ことを要因の1つとしている。
元々UUUMは、タレントの広告収益2割をマネージメント料として受け取り、代わりにマネージメントをする業務を行っている。UUUMの2023年の売上構成比は、アドセンスが38%、インフルエンサーマーケティングが35%、グッズが11%などだ。
YouTubeショートから得られる広告収益は、1再生あたり0.001円程度。通常動画は0.3~2円程度のため、ショートの再生回数が伸びても、通常動画の再生回数減少による収益減少を補えなかったというわけだ。
タイパ志向の若者の支持を集めるTikTok
最近の若者たちは、タイムパフォーマンス、通称「タイパ」を好むと言われている。SNS上の大量の情報、YouTubeやTVer、Amazon primeやNetflixなどにあふれる大量の動画等、様々なコンテンツに囲まれて暮らしている。この大量のコンテンツを効率的に得た上で、友人とのコミュニケーションに使うことを求められている状態だ。
そこで支持されているのが、TikTokだ。一つ一つの動画が非常に短く、しかもAIで好みそうな動画が自動的にユーザーの元に表示されるため、効率よく楽しむことができる。まさにタイパがいい時代に合ったアプリなのだ。
10分以上あることも多いYouTube動画は、若者たちにとっては「長すぎる」。それ故若者たちの間では、1.5倍速や2倍速等の通常より速い速度で視聴する「倍速視聴」をしたり、10秒送りなどスキップしながら視聴する「スキップ再生」をしたり、ポイントのみ理解できるように元の動画を短く再編集した「切り抜き動画」も流行している。