国際テロ組織の闇を暴く壮大なサスペンスドラマ──かと思いきや、作中には、食の楽しみや料理の裏技がバランスよくちりばめられているのも人気の秘密かもしれない。ドラマ『VIVANT』(TBS系)を料理で楽しむ、新鑑賞法を紹介する。
物語の真相を予想する「考察」が大きな魅力でもある『VIVANT』だが、注目すべきはストーリーや登場人物だけではない。赤飯やもんじゃ焼き、お餅に目玉焼きなど、劇中に登場するさまざまな「VIVANTメシ」も見どころになっており、撮影に使用する食材や調理法には、本作で脚本も手がけている福澤克雄監督(59才)のこだわりが詰め込まれている。
第4話には、阿部寛が演じる野崎守が、主人公の乃木憂助(堺雅人)とバルカから来日したドラム(富栄ドラム・31才)を食事に誘い、日本の餅をごちそうするシーンがある。
「このお餅に使われたのは、島根県奥出雲の仁多米で、監督が自ら持ち込んだもの。見栄えよく餅が伸びるように、撮影前には監督がゆで方を指導したそうです」(ドラマ関係者)
この仁多米の特徴はツヤとコシ、そして冷めてもしっとりとした食感が保たれおいしく食べられることで、「東の魚沼・西の仁多」と評されることもある。2014年まで「米・食味分析鑑定コンクール」で5年連続金賞を受賞した高級米だ。
「いまから20年ほど前に島根を訪れた福澤さんは、仁多米で握られたおにぎりを食べ、そのおいしさに驚き、惚れ込んだそうです。同じく福澤さんが手がけた日曜劇場『ブラックペアン』(2018年・TBS系)にも仁多米が登場し、主演の二宮和也さん(40才)がおいしそうに頬張っていました」(ドラマ関係者)
第7話に登場した目玉焼きも、福澤監督による監修で焼かれた。乃木が自らキッチンに立ち、「卵をざるに割り、白身の余計な部分を落としてから焼くと、ホテル風の目玉焼きになる……」と解説しながら調理する場面が放送されると、翌日のSNSには「乃木式の目玉焼きを試してみた!」という投稿がずらりと並んだ。
卵のおいしさを40年以上も研究してきた、東京家政大学特命教授の峯木眞知子さんによると、この「乃木式」は非常に理に適っているという。