ビジネス

開業20周年を迎えた沖縄唯一の鉄道「ゆいレール」 人口減少の日本でも車両増の背景

開業20周年を迎えた2023年8月10日「ゆいレール」が3両編成車両の運行を開始された(時事通信フォト)

開業20周年を迎えた2023年8月10日「ゆいレール」が3両編成車両の運行を開始された(時事通信フォト)

 日本で唯一、鉄道が走っていない都道府県と言われていた沖縄県にモノレール「ゆいレール」が開通して20年が経った。県外からの観光客には空港と市街地を結ぶためだけのように思われていた路線だったが、現在では通勤や通学、生活路線として存在感を増している。ライターの小川裕夫氏が、利用者増に対応し、新規路線計画も現実味を帯びてきた沖縄の鉄道事情についてレポートする。

 * * *
 新型コロナウイルスの感染が拡大して以降、多くの鉄道路線が苦境に喘いでいる。特に、沿線人口の減少に歯止めがかからないローカル線は、存廃議論が喧しくなっている。東京圏・大阪圏といった大都市圏を除けば、これまでのような路線の維持は厳しい。そうした中、非大都市圏ながらもいまだ鉄道需要を伸ばしているのが沖縄県だ。

 戦前期、沖縄県には鉄道が走っていたが、激しい沖縄戦によって壊滅。戦後復興のひとつとして、鉄道が再建されることはなかった。

「ゆいレール」は2両編成から3両編成に

 沖縄に鉄道計画が浮上するのは、沖縄返還の現実味が帯びてきた1970年代に入ってからだ。1972年に沖縄が返還されると、県庁所在地である那覇を中心としたモノレール計画が本格化。しかし、計画は長らく実現せず、21世紀を迎える。

 近年、新幹線などの高速鉄道の需要は堅調なものの、在来線は東京圏・大阪圏といった大都市圏でのみ存在感を発揮し、地方都市では縮小している。

 日本全体としては鉄道を縮小する傾向にも関わらず、沖縄県は2003年に念願だった鉄道がようやく開業。その沖縄都市モノレール(ゆいレール)は、今年に開業20年を迎えた。

 沖縄県も少子高齢化が押し寄せているが、ほかの地方都市のように鉄道需要が減退する兆しはない。それどころか、ゆいレールの利用者は歳月を経るごとに増えていった。コロナ禍で一時的に減少したものの、その後は順調に客足が戻ってきている。

「ゆいレールは2両編成で運行されてきましたが、利用者が多いことから3両編成へと順次切り替えています。3両編成化にあたっては車両を増やさなければならないことは当然ですが、ホームの延長工事やホームドアの設置といった工事も発生します。本来ならホームの延長工事には時間がかかりますが、ゆいレールのホームは建設時から3両編成に対応できる構造で造られていました。そのため、長編成化に対応する工事は短期間で済んでいます」と話すのは沖縄県土木建築部都市計画・モノレール課の担当者だ。

関連記事

トピックス

大谷翔平(写真/アフロ)
大谷翔平、不動産業者のSNSに短パン&サンダル姿で登場、ハワイの高級リゾードをめぐる訴訟は泥沼化でも余裕の笑み「それでもハワイがいい」 
女性セブン
今の巨人に必要なのは?(阿部慎之助・監督)
巨人・阿部慎之助監督「契約最終年」の険しい道 坂本や丸の復活よりも「脅かす若手の覚醒がないとAクラスの上位争いは厳しい」とOBが指摘
週刊ポスト
中居正広氏の近況は(時事通信フォト)
《再スタート準備》中居正広氏が進める「違約金返済」、今も売却せず所有し続ける「亡き父にプレゼントしたマンション」…長兄は直撃に言葉少な
NEWSポストセブン
不倫報道の渦中にいる永野芽郁
《ベリーショートのフェミニスト役で復活》永野芽郁が演じる「性に開放的な女性ヒロイン役」で清純派脱却か…本人がこだわった“女優としての復帰”と“ケジメ”
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の一足早い「お正月」》司組長が盃を飲み干した「組長8人との盃儀式」の全貌 50名以上の警察が日の出前から熱視線
NEWSポストセブン
垂秀夫・前駐中国大使へ「中国の盗聴工作」が発覚(時事通信フォト)
《スクープ》前駐中国大使に仕掛けた中国の盗聴工作 舞台となった北京の日本料理店経営者が証言 機密指定の情報のはずが当の大使が暴露、大騒動の一部始終
週刊ポスト
タレントとして、さまざまなジャンルで活躍をするギャル曽根
芸人もアイドルも“食う”ギャル曽根の凄み なぜ大食い女王から「最強の女性タレント」に進化できたのか
NEWSポストセブン
新恋人A氏と交際していることがわかった安達祐実
安達祐実、NHK敏腕プロデューサーと「ファミリー向けマンション」半同棲で描く“将来設計” 局内で広がりつつある新恋人の「呼び名」
NEWSポストセブン
還暦を迎えられた秋篠宮さま(時事通信フォト)
《車の中でモクモクと…》秋篠宮さまの“ルール違反”疑う声に宮内庁が回答 紀子さまが心配した「夫のタバコ事情」
NEWSポストセブン
熱愛が報じられた長谷川京子
《磨きがかかる胸元》長谷川京子(47)、熱愛報道の“イケメン紳士”は「7歳下の慶應ボーイ」でアパレル会社を経営 タクシー内キスのカレとは破局か
NEWSポストセブン
三笠宮妃百合子さまの墓を参拝された天皇皇后両陛下(2025年12月17日、撮影/JMPA)
《すっごいステキの声も》皇后雅子さま、哀悼のお気持ちがうかがえるお墓参りコーデ 漆黒の宝石「ジェット」でシックに
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」新年特大号発売! 紅白激震!未成年アイドルの深夜密会ほか
「週刊ポスト」新年特大号発売! 紅白激震!未成年アイドルの深夜密会ほか
NEWSポストセブン