立浪中日が崖っぷちだ。9月10日の巨人戦に敗れ、3年連続Bクラスが確定。おまけに涌井秀章、小笠原慎之介、高橋宏斗に続いて柳裕也が10敗目を喫し、球団50年ぶりの「10敗カルテット」が誕生するという屈辱を喫した。「令和の米騒動」など球場外での悪い話題も多く、ファンも苛立ちが募っていたのだろう。この日の試合後、東京ドームから引きあげようとする立浪和義監督に向かって、ファンが「おい立浪!」「責任取れよ」「選手はおもちゃじゃねえぞ」と罵声を浴びせている動画が拡散され、またもやSNSで話題を呼んでいる。
最下位に低迷している現在の中日だが、首位の阪神に比べて戦力で大きく見劣りするわけではない。先発陣は柳、小笠原、高橋宏という強力3本柱に、実績十分の涌井、ドラフト1位の仲地礼亜、ゲームメーク能力に定評がある松葉貴大、故障明けだがスケールが大きい梅津晃大と力がある投手がそろっている。守護神のライデル・マルティネスは防御率0.40(数値は9月12日終了時点、以下同)と抜群の安定感だ。チーム防御率3.13はリーグ2位。もちろん、改善の余地はまだまだあるが、投手王国を築く可能性を秘めている。
低迷の原因となっているのが貧打だ。342得点はリーグワースト。他球団より100得点以上少ない。ただ、野手陣もタレントがいないわけではない。2年連続最多安打を狙う岡林勇希、通算2000安打を達成したベテランの大島洋平、DeNAから現役ドラフトで移籍してブレークした細川成也、日本ハムからシーズン途中にトレード加入で攻守に活躍している宇佐見真吾、和製大砲の石川昂弥、身体能力の高さに定評があるブライト健太と魅力あふれる選手が多い。
だが、現実はシビアだ。就任2年目の立浪監督にチーム再建の期待がかけられたが、借金28を抱えて最下位に低迷。球場内の食事会場から米を撤去したことで選手から不満の声が上がった「令和の米騒動」が話題になるなど、チーム内には重苦しい雰囲気が立ちこめている。立浪監督は来年までの3年契約で続投が基本線だったが、ふがいない戦いぶりで解任や休養を望む声がSNSで殺到する事態に。ファンからの風当たりは強くなる一方で、球団史上初の2年連続最下位に低迷すれば、来季の続投が危うい状況だ。