シーズンも終盤にさしかかり、エンゼルス・大谷翔平(29)が、右脇腹の張りによって欠場を余儀なくされた。初の本塁打王のタイトルがかかるだけに心配する声が高まっている。また、懸念されるのが右肘の状態だ。8月末に判明した右肘靱帯の損傷により、2度目の「トミー・ジョン手術」を受ける可能性も報じられている。メジャーリーグ評論家の福島良一氏が語る。
「トミー・ジョン手術は、1回目の復帰率が85~95%、2回目以降は50%とされています。代理人のネズ・バレロ氏は『複数の医師が診断している』と明かしている。大谷としても思い悩んでいるところではないでしょうか」
大谷は今オフにFA権を取得する。総額6億ドル規模、1年あたり日本円で100億円超の大型契約になる可能性も指摘されているが、米メディアからは肘の状態によっては「白紙になるのでは」との見方もある。二刀流の行く末を占う重要な手術──もし決断した場合、大谷にメスを入れる執刀医は誰になるのか。福島氏はこう予想する。
「筆頭候補は、2018年オフに大谷にトミー・ジョン手術を施したニール・エラトロッシュ氏でしょう。米スポーツ医学整形外科学会の47代目会長で、トミー・ジョン手術を考案したフランク・ジョーブ氏や松坂大輔を執刀したルイス・ヨーカム氏の弟子として知られ、ロスを拠点とするトミー・ジョン手術のパイオニア的ドクターです。
メジャーでは、一度手術に成功したら、同じ執刀医がやるのが通例で、彼はドジャースのチームドクターやエンゼルスの整形外科のコンサルタントも務めている。信頼関係は厚いはずですし、エラトロッシュ氏も大谷にとって最善の選択肢を考えているはずです」
リハビリ期間は前回より長い可能性も
日本整形外科学会認定スポーツ医で、古川整形外科医院(京都・宇治市)院長の古川泰三医師もこう語る。
「少しでもそのドクターに不信感があればほかの方を探すと思いますが、信頼関係が厚いのであれば、再度依頼する可能性は高いでしょう。2回目の手術に踏み切る場合、リハビリ期間は1回目の時よりも長くなると思います。ただ、最近では従来のトミー・ジョン手術に加えて、人工繊維を縫い合わせて靱帯を補強する『インターナルブレース法』を取り入れる手術法が新しい試みとして行われています。この方法であればリハビリ期間は短縮できる可能性があります。ツインズの前田健太選手(35)がこの術式を選びました。大谷選手にとっても選択肢の一つになるのではないでしょうか」
世界中が大谷の決断を見守っている。ベストな“オオタニサン”を見られる日はいつになるのか。
※週刊ポスト2023年9月29日号