「いじめのきっかけはA君がテストで赤点を取ったことでした。剣道部には下級生の責任は上級生が取るという風習があり、赤字をとると連帯責任で上級生の部員が顧問から怒られます。それを機に同じ寮の別部屋に住む2年生のC、D、Eらを中心としたいじめが始まりました。深夜のコンビニやマックへの使いパシリが行われ、当初は代金を渡されていましたが徐々に後払いとなりました。
C、D、Eの3人は『立て替えておいて』と言って誤魔化し、『おまえ(A君)が払え』と代金を支払わなくなることが増えました。このパシリは、A君が失踪する今年3月まで毎日のように続いていましたが、こうした状態のなかある日、A君は同部屋だった同級生Bの財布に手をつけてしまったそうです」(前出・学校関係者)
取材班はA君本人に話を聞くことができた。
「去年の夏休み前のことでした。自分のお金が足りなくなり、許されることではないとわかっていましたが、つい魔が差してしまい同室の同級生Bの財布から2000円を盗ってしまいました。
Bはすぐに気づき、僕は『今はお金がないけど来月には返すから』と謝りました。すると彼に『誰にも言わないから、雑用をやってよ』と言われ、自分も先生や親にバレたくないという負い目から雑用を引き受けました。その日からBの洗濯とBが担当する際の食器洗い、週1回の部屋、風呂、トイレ掃除をすることになりました」
これが凄惨ないじめの始まりだった──。