「学校から息子がいなくなったと聞いたときは最初、練習がキツくて逃げ出したくらいに思っていました。それが3時間経っても連絡が繋がらない。ようやく連絡が取れて、会ってすべての話を聞いたときは、『生きていてよかった……』と、それしかありませんでした」──NEWSポストセブンの取材にそう心境を打ち明けるのは、A君の父親だった。【前後編の後編。前編から読む】
静岡県にある磐田東高等学校の剣道部に所属していた当時1年生のA君は、入学後から今年3月まで複数の上級生から凄惨ないじめを受けていた。3月4日に寮から逃げ出し、両親にすべてを打ち明けたことでいじめが明らかになった。
「入学してからA君は寮で生活していましたが、同級生Bのほか、上級生C、D、Eらを中心にパシリに使われ、雑用も強いられていました。コンビニエンスストアに買い出しをしに行っても、代金をほとんど支払ってもらえず、いじめは寮という密室で酷くなっていきました。
A君だけを狙った理不尽な稽古や、上級生からビンタされたり、急所を殴られるなどの暴行を日常的に受け、上級生らはそうした様子を動画に撮ってSNSにアップしていました。上半身裸になったA君の写真がメルカリに出品されるといった悪質な行為もありました」(学校関係者)
このほか上級生らは、嫌がるA君に無理やりタバコを吸わせるなどを行い、寮は無法地帯と化していた。結果的にタバコを吸ったことで恩師への罪悪感と生命の危機を感じたA君は今年3月4日の早朝、誰にも行き先を告げず寮を飛び出した。一時は行方不明となったが、親族に保護された。A君からすべてを打ち明けられた冒頭の父親は「学校には不信感しかない」と憤る。