「ツチノコ発見」「人面魚、重体脱す」「マドンナ痔だった?」──「日付以外正確な記事はなし」と言われた東京スポーツ(東スポ)の見出しに中年男性はワクワクさせられたことだろう。一昨年から新聞発行とかけ離れた食品業界に参入し、餃子やから揚げをプロデュースしたことで話題となった東スポだが、さらにまた新たな事業を企画中だという。
そもそもなぜ餃子だったのか。東スポ餃子の広報を担当する佐藤浩一氏はこう話す。
「ネットの普及とともに情報が気軽に手に入る今、新聞発行業は斜陽産業となり経営が厳しい状況が続いてきました。そんな中、社長の平鍋(幸治氏)が付き合いのあった食品関係の企業との会食で『餃子とか面白いんじゃないか』と出てきたのをスピーディーに実現しました。東スポの競馬面を見ながらビールを飲み、餃子を食べるというイメージです」
東スポが強いコンテンツの一つに「競馬」がある。土日の東スポの売れ行きは平日の4倍ほどあり、ネットの『東スポ競馬』も会員登録者数が増加している。こうした強みを生かした商品の一つが餃子で、2021年の『東スポ餃子』発売以後はから揚げやポテトチップス、レモンサワーと品数を広げている。競馬を観ながら餃子を食べ、レモンサワーを飲むといったコンセプトにつながっているというのだ。
東スポらしいエッジの効いた姿勢は食品にも表れている。パッケージは食品業界では食欲減退を呼ぶ色と敬遠されてきた「東スポカラー」の青色を使用しており、餃子はニンニクが通常の量の3倍を使用、レモンサワーに至ってはアルコール度数が13%だ。
「東スポらしい尖ったもので、なおかつ本気で美味しさを追求しています。例えば餃子のニンニクの量ですが、尖った部分を追い求めて4倍、5倍とすると、ニンニクの甘みのような風味が勝ってしまう。試食を重ね3倍という量が、インパクトがあり美味しいと思う量になりました」(佐藤氏)