9月16日に保土ヶ谷球場で行われた秋季神奈川大会3回戦、横浜高校対向上高校の試合後のこと──。タイブレークの末、薄氷を踏む勝利(6対5)を挙げた横浜のロッカールームには村田浩明監督(37)の怒号が部屋の外にまで響いていた。
「おいっ、お前ら! ※#$%#$!(内容不明の怒声)横浜高校の…名を……汚しやがって!」
入り口のドアを閉め切った密室でのやりとりのため、何を言っているかは判然としない部分も多かったが、一方的に早口でまくしたて、何かに八つ当たりしているのか、時折、「ドスン、ドスン」というような鈍い音までしていた。
この日、試合後の取材は勝利チームから行われることになっていた。ロッカールーム付近の通路には報道陣が控えていたが、一度、通路に顔を出した村田監督は神奈川県高野連の役員にこう告げた。
「今日は取材やってもらうレベルじゃないんで、取材はなしでいいですか」
「いったん確認します」と応じた県高野連の役員は、取材に備えていた報道陣をひとまず遠ざけようと、敗退した相手校である向上高校の取材を先に進めるように促した。異例の状況が生まれていた。
だが、私には見過ごせなかった。その場に留まり、ICレコーダーの電源を入れた。その後も、村田監督は数分にわたって球児に罵声を浴びせ、複数の球児がいっせいに「はい!」と返事したり、「すみません、すみません」と応じたりするやりとりが続いた。
試合後のロッカールームは選手の出入りが激しい。一瞬だけ扉が開き、村田監督の声がはっきりと聞こえたこともあった。
「頭がおかしいんじゃねぇか! コラァッ!(中略)もっとできるはずだろ!」