最高裁判所の司法統計によると、この約20年間で遺産分与を巡る裁判が増加傾向にあるそうだ。つまりきょうだいの不仲が顕著であるということ。あなたの周囲からもそういった声が聞こえてこないだろうか?
が、そんな風潮はどこ吹く風とばかり「姉妹はとても仲がいい」という山口真由さん。情報番組のコメンテーターや、信州大学特任教授として活躍している。彼女のプロフィールも非常に華やかで、東京大学を「全優」卒業、ハーバード留学、ニューヨーク州弁護士登録……と誰もが羨むよりも先に、ため息が出るような過去を持つ。
両親、妹はともに現役の医師。学生時代は周囲の学生に追随を許さず、成績トップクラスから落ちることなく、優等生街道を颯爽と進み続けた山口さん。文字を追うだけでは、どんな家庭なのか、姉妹なのかも皆目見当がつかない。山口さんらしい視点によるきょうだい論を自身のエピソードとともに話してもらった。(全3回の第2回。第1回から読む)
妹とは消去法で仲良しになっただけ
──山口さんのお話や、著書『挫折からのキャリア論』(日経BP)には、たびたび1歳違いの妹さんが登場してきます。それはお二人が仲良しであるからと解釈していますが、いかがですか?
山口真由さん(以下、山口):妹とは仲良しですよ。でもそれは、お互いに友達も少なくて、消去法で仲が良くなっただけかもしれません。
──消去法とは……それまた珍しいご意見ですね……。山口さん、失礼ですが、学生時代はお友達がいらっしゃらなかったんですか?
山口:どうだろう、中学生のときはクラスで浮いていたような気がします。でも高校のときに仲が良かった子はいます。その子は帰国子女だったから、ぶっ飛んでいるところがあって、そこが良かったのかもしれないです。彼女ね、妹に似ていたんですよ。(友人も妹も)私みたいに勉強も生活もすべてにおいて、競争でのし上がっているわけではないです。
妹に「私は競争心によって、勉強ができた。あなたもそうでしょう?」と聞いたことがあるんですけど、全否定されました(笑)。「や、違う。私はとにかく慎重に準備を進めて、そしたら勉強ができた」と。石橋を叩いて渡るタイプでしょうね。
──性格がまったく違うからお友達とも、妹さんとも仲良くなることができた。
山口:そうですね。二人みたいな何事にも揺るがないタイプが、私みたいな競争心の塊にとってベンチマークになる。言うなれば私にとって妹は、いつも船が停留している波止場なんですよ。