阪神・岡田監督の「人を見る目」は家庭でも！　長男には野球をやらせない名采配、才女の夫人は「アレ」の最大の理解者

長男の素振りを見て…

　評価はうなぎのぼりだが、その「人を見る目」のたしかさを物語るのが家族とのエピソードだろう。15年ぶりにユニフォームを着た岡田監督を陰ながら支えたのが、英語、フランス語、スペイン語が話せる才女と評判の陽子夫人だった。スポーツ紙デスクが言う。

「評論家時代の岡田監督の野球談議の相手は陽子夫人だった。デイリースポーツの専属評論家をしていたこともあるが、監督復帰を目指して阪神のことは常にチェックしていたんです。朝起きると在阪のスポーツ5紙を隅々までチェックする。そんな岡田監督の話し相手をしたり、自宅で一緒にテレビ観戦したりするために陽子夫人も同じようにスポーツ紙をしっかり読んで常に情報を頭に入れていたそうです。

　岡田監督はインタビューを聞いてもわかるが、言葉を省略して話すところがある。優勝を『アレ』と表現したように、アレやコレが発言のあっちこっちに登場する。今季は取材現場でも若い記者だと内容がわからないということで岡田監督を以前から知るベテラン記者が呼び戻されていたが、陽子夫人は岡田監督のアレやコレがわかる最大の理解者のひとりと言っていいでしょう。家庭でストレスが溜まらなかったのもコミュニケーションに長けた陽子夫人のおかげ。

　もちろん食事面でのサポートは万全。体調を見て喉越しのよいものや消化のよいものを出す。優勝が決まった甲子園での試合の朝は赤飯と鯛で送り出している。ちなみに『アレ』を言い出したのは岡田監督ですが、球団のスローガンとなった『ARE』のA・R・Eのアルファベットに続く英語（Aim!　Respect!　Empower!）を考えたのは陽子夫人です」

　ふたりの間に生まれたのが長男でひとり息子の陽集（ようしゅう）さん。地元の進学校から大阪大学基礎工学部に現役合格した秀才だ。総合商社に就職してジャカルタに単身赴任中というが、陽集さんが学んだ進学校には野球部もあり、阪神・佐藤輝明の出身高校でもある。しかし、子供の頃から陽集さんが野球をやることはなかったのだという。岡田監督を高校時代から取材してきた在阪スポーツ紙元編集局長はこう明かす。

「岡田自身は10歳の時に町内の大人の野球チームに誘われたという逸話があり、“ピッチャーならやる”と応じたそうです。誘った大人たちが驚いたほどで、その頃から野球をよく知っていた。岡田はもの凄く頭がよくて、それでいて勉強家でもある。子供の頃から野球をやりながら、なぜ打たれたのか、なぜ抑えられたんだろう、とずっと考えているような子供だったといいます。

　そんな岡田に『長男に野球をやらせようとしなかったのか』と聞いたところ、『小学校の頃、バットを持たせて振らせたことがある。1回見ただけでアカンと思った』と。それ以来、勉強一筋ということのようです」

　岡田監督の「人を見る目のたしかさ」は筋金入りのようだ。