就任4年目以降で2年連続Bクラス、翌年の続投例は
ここ2年、巨人はFA選手を獲得できていない。昨年も森友哉の調査に乗り出したものの、オリックスに奪われている。2019年オフにも鈴木大地や美馬学の獲得に失敗している。近年、“巨人ブランド”は通用しなくなった。
「他球団では当たり前の状況が巨人にもやってきた。今こそ、原監督に指揮官としての力量が問われている。ただ、今年は開幕前に多くの評論家が巨人をBクラスに予想したように戦力的には厳しかった。その中で、打者では秋広優人や門脇誠がレギュラークラスの働きを見せ、投手では山崎伊織や赤星優志に目処が立つようになった。FAで選手を獲得できないから若手を使わざるを得なかったとも言えますが、原監督が抜擢して育てたのも事実です。昨年までは若手に厳しい言葉を投げかけていましたが、今年はそうした発言が大幅に減った。現代の選手気質に合わせて、自らの言動も変えています。来年最後の勝負をかける下地を作れた1年と評価してもいい」
そうは言っても、“常勝・巨人軍”の2年連続Bクラスに不満を抱く声は大きい。
「采配に関しては、どんな監督でもファンからいろいろ言われます。今年、阪神を優勝させた岡田彰布監督ですら、シーズン中に『岡田辞めろ』という言葉がSNS上でトレンド入りしたほどです。すべてのファンが納得する采配は存在しません。だから『勝てば官軍、負ければ賊軍』なのです。原監督は2年連続Bクラスなので、批判されるのは仕方ない。また、どんな監督も長くなると、ファンは飽きてくるし、新しい人を見たい気持ちも生まれます。そのため、交代を求めるファンの声が目立つ面もあるでしょう」
巨人の監督候補には今まで何度も名前の挙がってきた江川卓氏、DeNAで若手を育てた中畑清氏、待望論の消えない松井秀喜氏という現在は外部のOBもいれば、桑田真澄ファーム総監督、阿部慎之助ヘッドコーチという内部の生え抜きもいる。
「過去20年のプロ野球界で、2年連続Bクラスで辞任しなかった監督は13人います。ただ、大半は低迷チームを受け継いで就任から2年連続Bクラスだったケースです。横浜、広島、楽天、オリックスなどに見受けられます。原監督のように就任4年目以降で2年連続Bクラスになって、翌年も続投したのは日本ハムの栗山英樹監督しかいません。1リーグ時代から振り返っても大洋ホエールズの三原脩、広島カープの白石勝巳、大映スターズの藤本定義、阪急ブレーブスの浜崎真二の4人が加わるだけです」