「野菜」を食べるように
綾菜さんの料理のキモとなるのが万能氷だしだ。田村栄養士と共同開発したレシピで、かつお節をベースに酒粕、玉ねぎ、しょうがを入れて凍らせるだけだ(別掲図参照)。
「減塩食をおいしくするコツはだしを重視することです。私は広島出身で味噌汁に酒粕が入っているのが当たり前だったので、“酒粕を使えばだしの旨味が増すかも”と試しに入れてみたら、これが大当たりでした。1個あたりの塩分量が0.3gと管理しやすく、凍らせて作り置きしておけば長期間保存でき、和洋中の様々な料理に合わせられる」(綾菜さん)
鉄医会ナビタスクリニック理事長の谷本哲也医師は、万能氷だしの降圧効果についてこう見る。
「そもそも塩分が少ないので降圧効果が期待できます。材料もいいですね。玉ねぎのケルセチンは血液をサラサラにする効果があり、しょうがは血流を改善、かつお節はナトリウムを排出するカリウムを多く含むので降圧効果につながるでしょう。塩分量を細かく計算せずに手軽に調理できることも作る側には便利です」
万能氷だしを使ったレシピは「ストレス解消」「食欲増進」「疲労回復」「便秘解消」「免疫力アップ」という5つの効果が期待できると綾菜さんは説明する。具体的な4品のレシピを紹介しよう。
まずは『肉汁じゅわ~!和風おろしハンバーグ』。
「お肉好きの加トちゃんの大好物です。和風おろしなのでサッパリと食べることができ、氷だしを3個使うことで旨味が倍増します」(綾菜さん)
副菜のイチ押しは、『加藤家思い出のひき肉レタス包み』だ。
「何度目かの入院中、『家に帰ったら中華を食べたい』とつぶやいた加トちゃんのために考案しました。中華は血圧を考えるとハードルが高いジャンルですが、セロリやパクチー、ライム汁をたっぷり使った“減塩アジアンテイスト”が楽しめます。香りの強い食材を使うと口に入れた瞬間に香りが広がって味わいが生まれ、食欲増進にもつながります」(同前)