山間地を行く路線バス(イメージ、時事通信フォト)

山間地を行く路線バス(イメージ、時事通信フォト)

バスは公営に戻すしかないと思う

 このバスの運転士不足、とくに路線バスの不足は絶望的というか、本当にどうしたらいいのだろう。低賃金、長時間拘束、健康面で続けることが難しくなる可能性が高く、不特定多数を大勢乗せてひとりで運転して、停留所のたびにストップ・アンド・ゴーで乗せたり降ろしたり、とんでもなく狭い道や混雑する駅周辺、あらゆるところから勝手に飛び出してくる車やバイク、自転車、歩行者などに気を遣ってすべての客を安全にそれぞれの目的地まで運び、車椅子に対応し、心ない客に対応し、それを毎日繰り返す。車内清掃も、日々の事務仕事も。

 確かにいまの若者でなろうと思う人は少ないだろうし、世代関係なく大型二種という免許取得はもちろん、実際に現場で営業する上での「適性」の問題もある。「代わりはいくらでもいる」と蔑ろにしていたらバスの運転士、とくに路線バスの運転士も絶望的な状況にまで足りなくなってしまった。

 考えてみれば、路線バスは混雑次第では大勢の客が立って乗る。公共交通としては鉄道もそうだが、自動車による営業としては特殊な「自動車に立って乗る大勢を安全に運ぶ」という路線バスの神業、本当に特殊というか、ごく当たり前の日常とはこうした凄い人たちが支えていたことを日本は近年、バスに限らずあらゆる現場の「人手不足」によって思い知らされているように思う。誰かがやると思っていたはずが誰もいなくなった、インフラとするなら、これはとても恐ろしい話のように思う。

「バス運転士の退職が続くため◯◯から〇〇の路線は全便運休とします」

「乗務員不足による運休は◯◯線および◯◯線となります、ご理解いただきますようお願い申し上げます」

「深刻な運転者不足のため◯◯線は減便によるダイヤの効率化を図ります。ご確認の上、ご利用ください」

 各地で続々とこうしたバス会社による「お知らせ」が続いている。路線バスだけでなく、スクールバスなども運転士不足で減便どころか廃止にする学校がある。どこのバス会社も限界が来ている。

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