原監督を「反面教師」にできるか

第9回『関西燦燦会総会』に出席した阿部氏(時事通信フォト)

「激ヤセ報道」もあった阿部慎之助新監督(時事通信フォト)

 もともと、現役時代の阿部氏は「兄貴分」として若手選手から慕われていた。

「グループや派閥を組みたがる傾向は巨人の選手が一番はっきりしていて、自主トレの顔ぶれをみれば、選手がどこを向いているかよくわかる。当時の巨人でいえば“阿部派”が最大派閥。高橋由伸が率いる“ヨシノブ派”を凌ぐ勢力でした。

 そもそも“阿部派”は坂本勇人と長野久義が阿部に誘われてグアムで合同自主トレを始めたことがきっかけで結成された。その後は藤村大介、河野元貴、大田泰示ら若手も参加、内海哲也が率いる投手陣の集まりである“内海組”も合流するなど、一大勢力となっていた。自主トレ先での食費や宿泊代などをすべて阿部が負担するなど、面倒見の良さも求心力の一因となっていたようです」(スポーツジャーナリスト)

 その点では、原監督の前任である高橋氏より、阿部氏のほうが監督として期待できそうにも思えるが、その一方で指導者になってから豹変したことを気にする声もある。阿部氏は2019年オフに現役を引退すると二軍監督に就任。2022年に一軍作戦兼ディフェンスチーフコーチに就任し、今年はヘッドコーチ兼バッテリーコーチとなった経過がある。スポーツ紙デスクが言う。

「二軍監督時代には昭和の野球を貫いた。罰走を含めた走り込みを重視し、プロアマ交流戦で早大に敗れると全選手に罰走させてダルビッシュ有から批判されたこともある。一軍に昇格してからは静かなので、二軍の選手だからやらせたという話なのかもしれないが、妥協を許さない性格は変わらないだろうし、権力のある監督になれば二軍監督時代の方針に戻るかもしれない。果たして今の若い選手たちがついていけるのか……」

 名門球団の再建を託される以上、期待されるものも、責任も大きい。著書に『原辰徳研究』がある野球評論家の江本孟紀氏は「阿部新監督」の誕生についてこう話す。

「変なヤツがやるよりいいですよ。監督になるためにずっとベンチにいたわけですからね。『阿部は進言しない』とは批判されますが、黙って見ているのも勉強なんです。原政権のいいところも悪いところも見て学んだと思う。賢いと思う。反面教師にしてやればいいんですよ。罰走などの走り込み重視? 正しい指導法だと思います。今風がダメだから巨人がこうなってしまっているんだからね。黙って阿部に任せましょうよ」

 阿部新監督のもとで、巨人はかつての栄光を取り戻せるのか。

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