それから一緒に生きてきたこの30年、赤井は全然変わりません。私も“こうなってほしい”とは思わない。社会の在り方や時代が変わっていく中で、いかに赤井が赤井らしく無事に生きていけるようにするか。それが私の使命だと思っています。
どうしてそこまで?と疑問に思うかたもいらっしゃるかもしれませんが、実は私、ずっと赤井みたいになりたいと思いながら生きてるんです。確かに子供っぽかったり呆れるような行動を取るけれど、「自分を大切にして、相手にも優しくする」という人としてすごく重要なことを自然にできている。
赤井と出会うまで私は、自分ががまんしても相手を慮ることを大事にしてきましたし、それが道徳的だと思っていました。だけど赤井はまず自分を大事にし、自分がいいと思うことをやる。だから人の目を気にすることもないし、相手に不満を持つこともないんです。
それを痛感したのはまだ子供が小さい頃、家族旅行で小さなセスナ機に乗ったときのこと。40〜50分程度の遊覧飛行です。離陸前に子供たちのトイレを済ませ、自分は大丈夫だと思って出発したのに、ほどなく私が急激にトイレに行きたくなってしまった。
だけど飛行機にトイレはなく、冷や汗をかいてがまんしていた私に気がついた赤井は、ブランケットを何枚か借りて機内後方に立って目隠しし、ビニールを敷いて「ここでしたらええ」って。到着後も赤井が全部片付けてくれました。
もし私だったら“離陸前に行っておけばよかったのに”とか“がまんできないの?”とか言ってしまうのに、責めるような言葉は一切なかった。そのときから私はずっと、赤井になりたいと思っている。好きとか嫌いではとても言い表せない存在なんです。
【プロフィール】
赤井佳子さん(57才)/元プロボクサーで俳優の赤井英和の妻として、個人事務所「赤井組」の代表取締役社長として奔走。X(旧ツイッター)で発信する赤井との日常も人気。
※女性セブン2023年10月12・19日号