『80歳の壁』など数々のベストセラーを生み出す和田秀樹医師が、「58歳から元気になる方法」をテーマに、50代から60代の現役世代の悩みに答える。今回は「病院に行くのに、いい歳をして派手な服を着たがる80代の親が恥ずかしい」というケースへの見解。高齢者医療の専門家はどう答えるのか。
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高齢者が「派手な服を着て出かける」のは正解
「80歳を過ぎた親が病院に行くのに派手な格好をして出かけたがる。いい歳をして恥ずかしい」──そんな子供世代の声が聞こえてきます。でも、それは親御さんの姿勢や気持ちを十分考えたうえでの言葉でしょうか。
一般的に、リタイア後の時間を長く過ごしてきた80代ともなると、自然と外出の機会は減っていきます。所属する団体や人付き合いの数も減っていくにつれ、おしゃれ着に着替えて出かける機会が減るのはなおさらです。
だから、たとえばたまに街のデパートに買い物などの用事で出かけるときだけはきちんとした格好に着替えたりするわけですね。でも、日常の買い物をする近所のスーパーに行くのにわざわざ着替えることはしないことが多い。
つまり、病院に行くときに普段とは違う衣服に着替えるということは、曲がりなりにも医者に敬意をはらっているということだと私は考えます。家族からすれば「ただ病院に行くだけなのに、なんで?」と思うかもしれませんが、本人にすれば病院を受診するのもきちんとした社交、あるいはお出かけの機会ということではないでしょうか。
そういう意味では、病院に行くのにわざわざ派手な服を着て出かけることはむしろ喜んであげるべきことです。子供側の「恥ずかしい」と思う気持ちを変えなければいけません。
年相応に地味な服ばかり着て、家に閉じこもっていたら老け込む一方でしょう。派手な色の服を着たりして若作りすることは、実際に若返り効果も期待できます。