今年5月、感染症法上の位置付けが「5類」に移行した新型コロナは、その後も猛威を振るい続けている。
現在、国内の6割をオミクロン株から派生した「EG.5」(通称・エリス)が占めると推計されるが、9月には新変異株「BA.2.86」(通称・ピロラ)を国内で初めて確認。高い免疫回避能力を持つとされている。
そんななか9月に始まったワクチン接種は、多い人なら7回目となる。次から次へと新たな変異株が登場し、ワクチンとの“イタチごっこ”の状況がまだ続いているのだ。
内科医の久住英二医師が語る。
「エリスやピロラは、過去に別のタイプの新型コロナに感染していても再びかかる可能性が高いとされていますが、今回のワクチンはこれらの変異株にも高い有効性が期待できます。
この先、人との交流や移動の機会が増えるシーズンを迎えるため、希望者が増えてくるはずです。すでにワクチン不足が報じられている自治体もありますから、早めの予約を心がけましょう。効果は3か月以上は持続するので、10月中に打っておけば年末年始への備えになります」
今回のワクチンは生後半年以上のすべての人が対象となるが、接種券の交付は自治体によってルールが異なる。たとえば東京都墨田区では今年5月8日~9月19日の期間に接種を受けた人には順次発送されている。それ以外の人は過去に手元に届いた未使用の券を使って接種する。
これまで一度も打ったことがない人も今回の新ワクチンを接種できるので、希望する人は各自治体の窓口に問い合わせればよい。
今回の秋のワクチン接種は、無料で受けられる最後の機会となるかもしれない。
現在は予防接種法上の「特例臨時接種」に位置付けられているが、この期間は来年3月末に終了し、以降はインフルエンザと同じ「定期接種」として一部自己負担が生じる可能性がある。これまで全額公費負担だった高額な治療薬はすでに10月1日から窓口負担割合に応じて、最大9000円の自己負担となっている。