シミュレーターをプレイしている様子。運転席横の乗務扉も、実車のモノを使用(撮影:小川裕夫)

シミュレーターをプレイしている様子。運転席横の乗務扉も、実車のモノを使用(撮影:小川裕夫)

 空港特急のスカイライナーとして走り始めるのは1978年からで、後継のスカイライナーとなるAE100形は1990年に新登場。AE形(初代)はAE100形に押し出されるように1993年で引退し、走行機器の部分がまだ使用できると判断されて3400形に転用された。

 3400形は主に通勤用として運転されているが、特急列車の走行機器類を流用した車両のために、ブレーキの利き方がほかの通勤型車両とは少し異なっている。

 各駅停車の電車は一駅ごとに発車と停車を繰り返す。そのため、加減速を頻繁にしなければならず、一般の通勤型車両は、それに適したブレーキになっている。対して、特急は停車駅が少ないので頻繁に加減速する必要はない。

 そうした特急車両の走行機器を流用している3400形は、ほかの通勤型車両とはブレーキに異なる特徴がある。「そうした特殊な部分も、京成ファンや鉄道ファンから人気が高い理由」(長尾さん)という。

機器類の位置も再現

 京成ホテルミラマーレに誕生する新しいトレインルームのウリは、ファン垂涎の3400形が運転体験できるという点だけではない。

 近年、多くのホテルでトレインルームが登場しているが、それらは簡素な運転台が備え付けられ、鉄道部品が室内装飾として使用されているという仕様だった。今回、新たに誕生したトレインルームは引退した本物車両の部品を使い、計器類もシミュレーターと連動して動くようになっている。

 それだけでも本格的なトレインルームと感じられるが、「客室内なので運転席の背面に壁を設置できませんでしたので運転席の背面にある機器だけは別の位置に取り付けましたが、側面の機器類は同じ位置に取り付けて、実際の3400形の運転台に近づける工夫をしています」(長尾さん)といった細部にまでこだわっている。

 これまでのトレインルームでも鉄道ファンを十分に満足させるものだったが、京成ホテルミラマーレはクオリティをさらに高めている。そうしたこだわりが、本格派のトレインルーム誕生につながる。

 また、トレインシミュレーターの運転士・車掌の音声は、元鉄道会社の運転士で現在は鉄道ナレーター・鉄道タレントとして活躍する響丈さんとママ鉄タレントとして人気の豊岡真澄さんが担当。こうした仕掛けも、鉄道ファンの心をくすぐる。

 今後はトレインルーム2.0ともいうべきブームが到来し、本格派のトレインルームが続々と誕生することになるかもしれない。

トレインルーム内に設置されたシミュレーターの運転台。廃車になった3400形の運転台をそのまま使った本格的なものとなっている(撮影:小川裕夫)

トレインルーム内に設置されたシミュレーターの運転台。廃車になった3400形の運転台をそのまま使った本格的なものとなっている(撮影:小川裕夫)

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