霊園・墓地を開発する株式会社「鵠祥堂」の代表・齋藤竜太容疑者(50)と取締役の青木淳子容疑者(63)が今年7月、足立区の寺院の男性住職(当時70)を、練炭による一酸化炭素中毒により死亡させた事件。両者間では墓地の運営についてトラブルがあったことが報じられているが、本誌・週刊ポストの取材で、事件前に青木容疑者が住職から寺院への“出入り禁止”を告げられていたことがわかった。
鵠祥堂は2020年、現場となった寺院と近くの霊園について、販売に関する契約を締結していた。当初は霊園のお墓を宗派問わず販売していたが、「販売対象を仏教に限定したい住職と鵠祥堂とで意見が対立した」(全国紙記者)という。
齋藤容疑者と青木容疑者は事件前このトラブルについて、鵠祥堂と取引があった千葉県内にある別の寺院の関係者に、不満を漏らしていたという。その寺院関係者によると、「青木さんは『契約時にテープレコーダーを回したことが原因で、住職から“出入り禁止”を言い渡された』と言っていた」と話す。
「録音するなんて考えられない!」
「ふたりによると、言い分は次の通りでした。亡くなった住職と鵠祥堂のふたりが結んだ最初の契約では、宗教を問わずお寺の檀家さん以外にもお墓を売ってもいいですよ、という契約だった。しかし住職が、お墓を購入したお客さんに『檀家になれ』としつこく言っていたと。お客さんは住職のほうには言いにくいから、『話が違うじゃないか!』と青木さんたちにクレームを入れる。それで鵠祥堂側は、もう一度契約について住職と話し合うことにした、と。
その話し合いの場で、青木さんがテープレコーダーで録音を回そうとしたら、『録音するなんて考えられない!』『もう来るな!』と住職が激怒し、青木さんは出入り禁止になった、ということでした。うちと鵠祥堂が契約する時も録音しながら契約が進んだんですが、そういう事情があったと。仮に2人の言い分が事実だったとしても、あんな殺人を犯すなんていまだに信じられませんし、なぜそんなことになってしまったのか……」(寺院関係者)
住職の男性はどのような人物だったのか。寺院近くの女性住民によると、「バイタリティのある方でした」と振り返る。
「雪が積もった日には自分で除雪機を動かして除雪して、お寺周りも自分で整備する、エネルギッシュな人でした。挨拶をすると応じてくれる人だったんですけど、お布施の話はあまりよくない噂も聞きました。人によってお布施の金額を変えて、1番高い檀家さんには500万円を払えって言っていたみたいですね」