殺人や現住建造物等放火などの罪に問われている青葉真司被告(時事通信フォト)

殺人や現住建造物等放火などの罪に問われている青葉真司被告(時事通信フォト)

「ナンバー2から落とせという指示があった」

 弁護人の質問に対しては、当時スタジオにいた人数が「2、3人」だと思っていたと繰り返した青葉被告だが、検察官や裁判官らの質問では、なぜかその数が変遷した。

検察官「以前あなたは『大量の人が亡くなるんじゃないかと思って第一スタジオを選んだ』と言っていましたが、それで目の前にいた2〜3人が亡くなると思っていたというのは、ちょっとよく分からないんですが」

被告「記憶にないと思いますが、かつて、ガソリンを撒いて爆発して8人ほど亡くなったという事件があったんですけど、多く亡くなるとしてもその人数ぐらいが上限じゃないかと」

 2001年に青森県弘前市で発生し、5人が死亡、4人が重傷を負った武富士弘前支店での強盗殺人放火事件を引き合いに出し「多くても7、8人」が亡くなると思っていたと証言。さらに裁判長から問われると、また別の事件を例に挙げ、人数を若干増やした。2008年に東京・秋葉原で7人が死亡し10名が重軽傷を負った秋葉原無差別殺傷事件や、1999年に横浜・鶴見区で発生した麻雀店放火事件(8人死傷)が念頭にあったようだ。

「やはり秋葉原の件がありました。7人か8人か9人。雀荘の事件で、7人から9人。たぶん2桁までは考えなかった」(被告人の証言)

 あくまでも被告は36人もの命を奪う意図はなく「2桁は想定していなかった」と1桁台にこだわる。しかし一方で「京アニなんか、なくなっちゃえばいいのに、という考えはあったと思う」とも証言していた。

弁護人「社長の証言で『アイデアを盗むことはない』という話が出ましたね。それを聞いてどう思いましたか?」

被告「う〜〜〜〜ん。とりあえず、監督が、えーと、ブログ上で、あの〜……時間移動のことに関して触れているので(自分の応募作品を)読んでないことはないんじゃないかと思うんですがぁ。誰かがそういうアイデアをパクること、指示したんではないかと思う」

弁護人「誰が?」

被告「ナンバー2の人間になります。ナンバー2から、落とせという指示があったんだと思う。落とした後、京アニは利益率の高い映画の仕事を3本ほど請け負っていたり、その仕事……落とす(被告の作品を落選させる)ことをした後、建てられたのが第五スタジオ。そのお金が見返りになっている。いやぁ、けっこうあの頃は、ネットで散々やりあってて、それで、あの〜、やっぱり、まぁ、それで『落とせ』という形になったんじゃないかと」

 青葉被告に対しては、複数の医師が精神鑑定を行ない、そのうち1名の医師は被告を「妄想性障害」と結論づけている。今後の公判では、青葉被告の精神鑑定結果を中心に、事件当時の精神状態についての取り調べが行われる見込みである。

●取材・文/高橋ユキ(フリーライター)

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