淡谷のり子さん(共同通信社)

淡谷のり子さん(共同通信社)

 1937年には『別れのブルース』が100万枚の売り上げを記録し、その後も『雨のブルース』や『君忘れじのブルース』などヒット曲を連発し流行歌手として音楽界に名をはせた。

「歌はもちろんのこと、晩年は若手芸能人に対する『毒舌』も注目を集め、最後までファンに愛され続けました」(前出・テレビ局関係者)

 淡谷さんと黒柳の交友が始まったのは、黒柳が生まれた1933年頃に遡る。

「黒柳さんのお母さんの朝さんは淡谷さんと同じ東洋音楽学校に入学。淡谷さんの3才年下で、2人は仲がよく、先輩である淡谷さんは頻繁に黒柳さんの家に遊びに行っていたそうで、徹子さんのことを赤ちゃんの頃から知っていたみたいです」(黒柳の知人)

 かつて朝さんと彼女の夫である守綱さんが雑誌に取り上げられたことがある。

「『それいゆ』という戦後を代表する女性誌に『美しい夫婦』としてふたりが写真付きで紹介されたんです。淡谷さんの推薦で掲載が決まったのですが、守綱さんは写真に撮られることが嫌いで『これは両親揃って写っている数少ない写真なの』と黒柳さんはうれしそうに話していました」(前出・黒柳の知人)

 また、黒柳のメリハリのきいたメイクも、幼い頃に淡谷さんから学んだのだとか。
「淡谷さんは美に対してとても貪欲で、強い信念を持っていました。戦時中、彼女はどんなに非難を浴びても『これが私にとっての戦闘準備』と言ってド派手な化粧と衣装を貫き、自分の歌いたい曲を歌い続けた。黒柳さんの家でもよくテーブルの上にメイク道具を広げ、『この目の存在を明らかにしないと!』と言いながら、アイラインを幾重にも引き、大きなつけまつげをしていたそうです」(前出・黒柳の知人)

 当時の日本ではまだつけまつげが作られておらず、淡谷さんはフランス製の高級品を取り寄せて使用していた。

「淡谷さんを真似したいけれど、高価で手が届かなかった黒柳さんは、マッチ箱と木綿糸と自身の髪の毛を用いて自作したものを使っていたそうです」(前出・黒柳の知人)

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