9月29日から10月6日までの8日間にわたる中国の国慶節が終わった。中華人民共和国の建国が宣言された1949年10月1日を祝う、いわば「建国記念週間」というわけだが、秋の行楽シーズンとも重なり、多くの市民が旅行に出かける時季として知られている。
コロナ禍が明け、中国政府は徹底して敷いていた「ゼロコロナ政策」を解除。8月には団体旅行を解禁したが、長い期間にわたって海外旅行が“おあずけ”になっていた多くの中国人観光客が向かった先は、日本だった。
中国へのマーケティング支援を行う企業が中国在住の中国人に対して行った調査では、なんと76%の人が「行きたい国」として日本を挙げ、2位のシンガポールを大きく引き離して1位に輝いている。地理的に近く、フライト時間が短いこともあるが、それだけでなく富士山や京都などをはじめとする観光地や和の文化、そして何より豊かな食文化が中国人の心をくすぐるようだ。
だが受け入れる側の日本は、問題が山積だ。コロナ禍を経て離職者が増えたうえに、高齢化もあいまって、バスやタクシーといった旅客輸送の担い手が激減している。つまり、国内の移動手段が貧弱になっているのだ。もちろん円安やそれに伴う燃料代高騰も無関係ではない。
とくに深刻とされているのが運転手不足だが、その問題を解消する目的で注目されているのが「ライドシェア」だ。菅義偉・前首相は自家用車を使い有償で旅客を運ぶライドシェアの導入を提唱。この考えには河野太郎デジタル相や小泉進次郎元環境相なども同調する姿勢を示している。さらに、彼らのお膝元である神奈川県の黒岩祐治知事もライドシェアの実現可能性について県として検討するよう指示するなど、解禁への雰囲気が醸成されつつある。