旧統一教会(世界平和統一家庭連合)をめぐる問題で、文部科学省が教団の解散命令を東京地方裁判所に請求。旧統一教会を最前線で追及してきたジャーナリストの鈴木エイト氏と弁護士の紀藤正樹氏が緊急対談した。【前後編の後編。前編から読む】
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エイト:これまで統一教会の問題を放置するどころか、選挙などに利用してきた政治家に対する検証は、解散命令が出た後も続けていくべきだし、私も自分でできることをやります。自民党政調会長の萩生田光一氏をはじめ、ちゃんと追及できていない人がまだまだいる。
紀藤:「関係を断ちました」だけでは具体性がなく納得できない。
エイト:来たる総選挙の前に、本当に関係を断っているのか検証したい。当時関係を指摘されていた秘書とまだ行動を共にしている議員もいます。組閣のたびに取り沙汰されるのはしっかりと検証していないからで、いつまで経っても突っ込まれ続けることになる。
紀藤:「統一教会のイベントと知らずに行きました」と言うなら、どこの誰から紹介されたのかを明らかにすべきなんです。紹介ルートがわからないと、統一教会の潜入ルートがわからない。そのため実効性ある対策もとれない。昨年の自民党内の調査は十分ではありませんでした。
エイト:岸田首相は、党内の抵抗勢力を抑えてここまでこぎ着けたという部分は評価すべきなんです。ただ、自民党総裁としてしっかり調査させたかというとそうじゃない。その点で岸田首相の評価としては半分ずつですね。
自民党内で点検しても出てこないのだから、ジャニーズ問題のように、外部調査委員会が検証を行なうべきだと思います。
紀藤:第三者委員会が理想ですが、国会議員は選挙で選ばれた人なので、原発事故調のように国政調査権を使って、国会に調査委員会をつくるのが筋ですね。全政党で調査委員会をつくり、統一教会の問題がなぜ放置され続けたのかを含めて調査する。立憲民主はそう主張していますが、与党が反対している。
エイト:ちゃんと検証をすれば、むしろ自民党も信頼感を高められると思う。統一教会と関係があった政治家を単に糾弾したいというのではなく、原因を明らかにして説明責任を果たして、今後起きないように対策すれば、それでいいわけです。その上で、有権者に投票判断を仰げばいい。政治家は叩かれるのを恐れないほうがいいと思います。
紀藤:私が所属する全国霊感商法対策弁護士連絡会は1987年に設立されましたが、マスコミが取り上げない間も政治家に陳情したり、公開質問状などを出してきた。エイトさんの長年にわたる追及取材もそうですが、それが結果的に資料として残っているからこそ、いまの追及に生きています。
エイト:統一教会の訴訟戦術はわかっていたことですが、こちらも屈することなくきっちり応じていきたいと思います。
エイト氏が受けた訴訟について旧統一教会に聞くと、「当会がお答えする立場ではございません」(広報局)と回答。今後の対応が注目される。
(了。前編から読む)
【プロフィール】
鈴木エイト(すずき・えいと)/滋賀県出身。ニュースサイト「やや日刊カルト新聞」で副代表、主筆を歴任。カルト宗教問題を扱う日本脱カルト協会に所属し、長きにわたり旧統一教会問題を取材。著書に『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』(小社刊)等。
紀藤正樹(きとう・まさき)/1960年生まれ、山口県出身。1990年に第二東京弁護士会に登録。全国霊感商法対策弁護士連絡会に所属し、2001年にリンク総合法律事務所を開設した。著書に『マインド・コントロール』(アスコム)、『議論の極意』(SB新書)等多数。
※週刊ポスト2023年10月27日・11月3日号