麒麟地震研究所が観測していた東日本大震災(下写真)が起きる前のデータ。’11年3月9日14時40分頃に大きな反応が出ていた。(画像は麒麟地震研究所のXより)

麒麟地震研究所が観測していた東日本大震災が起きる前のデータ。2011年3月9日14時40分頃に大きな反応が出ていた。(画像は麒麟地震研究所のXより)

 実用化は少し先になるが、現状の数分前の地震警報システムと比較して、大きな前進を果たしたのも事実である。

 GPSを使った研究は日本でも盛んに行われており、その最先端が地震科学探査機構(JESEA)が提供する「MEGA地震予測」だ。

 JESEAは国土地理院が全国約1300か所に設置したGPSのデータで地表の動きを捉え、1週間ごとの上下左右の「異常変動」、長期的な上下動の「隆起・沈降」、東西南北の動きの「水平方向の動き」という3つの主な指標を総合的に分析し、地震を予測する。その予測法に衛星画像の解析などを組み合わせ、2021年に「ピンポイント予測」を実用化。今年国内で起きた震度5以上の地震13件のうち10件を的中させた。

プレート境界を直接観測する

 東日本大震災や2022年に起きたマグニチュード7.4の福島県沖地震の予兆を観測していた麒麟地震研究所では、地震の際に発生する「電磁波」による地震予測の研究をしている。

「当研究所では5台の観測機を用いて全国各地の電磁波によるノイズを観測しています。実際、1995年の阪神・淡路大震災では直前にラジオなどから大きなノイズ音が聞こえたという報告が複数ありました。その理由として、地震はプレートのひずみや断層のズレによって発生するため、大地震発生地点では岩石に大きな圧力がかかり、そのときの摩擦や地割れで大量の電磁波のノイズが発生していると考えられます」(麒麟地震研究所・以下同)

 電磁波によるノイズが大きくなるほど発生する地震のエネルギー規模は高まるという。

「ノイズが増大するほど地震が近づいている証拠です。そうして増大していったノイズがいったん落ち着き、そのすぐ後に突発的な強いノイズを観測すると数日で地震が起こります。東日本大震災で観測されたノイズはその通りの動きをしていました」

 5台の観測機の中で、いま気がかりなノイズを受信している場所が複数箇所あるという。

「北海道から小笠原諸島に至る日本海溝と、静岡県の駿河湾からフィリピン海溝までのプレート境界と、熊本から紀伊半島に至る中央構造線の周辺を観測する観測機3号が、3年半前から大きなノイズを観測し続けている。このままエネルギーが蓄積され続ければ、プレート境界と中央構造線の周辺でマグニチュード8の巨大地震が起きることが考えられます」

関連記事

トピックス

高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
阿部なつき(C)Go Nagai/Dynamic Planning‐DMM
“令和の峰不二子”こと9頭身グラドル・阿部なつき「リアル・キューティーハニー」に挑戦の心境語る 「明るくて素直でポジティブなところと、お尻が小さめなところが似てるかも」
週刊ポスト
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン