【著者インタビュー】柴田ケイコさん/『パンどろぼうとほっかほっカー』/KADOKAWA/1430円
【本の内容】
『パンどろぼう』『パンどろぼうvsにせパンどろぼう』『パンどろぼうとなぞのフランスパン』『パンどろぼう おにぎりぼうやのたびだち』に続く「パンどろぼう」シリーズ第5弾。かつては世界一のおいしいパンを探し求めては盗む大泥棒だった「パンどろぼう」。いまは世界一のパンを作るパン職人になりました。そんな彼がたくさんの人にほっかほかのパンを届けるために──。
目の前の作品のことだけ必死に考えて作っていた
子どもはもちろん、大人にも人気で、歌手のあいみょんさんも大ファンという絵本「パンどろぼう」の、シリーズ第5作『パンどろぼうとほっかほっカー』が出た。
おいしいパンを求める「パンどろぼう」は、頭にかぶった食パンがトレードマークだ。どろぼうをやめて森のパン屋で働くようになり、やぎのおばあさんに頼まれ、孫の誕生日プレゼントとしてメロンパンを届けに行く。車に水をはねかけられ、びしょ濡れになり、運転手はおわびとして「パンどろぼう」をすてきな車屋さんへ連れて行く。
シリーズ累計250万部超え。グッズやぬいぐるみ、ムックといった関連商品も次々に出ている、ものすごい人気だ。
第1作の「パンどろぼう」を出すとき、こうしたシリーズ化まで考えていたわけではなかったそう。
「自分の作ったキャラクターをここまで喜んでいただけるなんて、ありがたいなあ、といつも思っています。作品を作るときは必死で、目の前の作品のことだけ考えていました。続きを書くことも全然考えてなかったです。だって1作目で『パンどろぼう』は改心しちゃうじゃないですか(笑い)。2作目をという話をいただいてから、『さあ、どうする?』と担当編集者といろいろ話し合って、続けていこうといまのかたちになりました」(柴田ケイコさん・以下同)
ライバルの「にせパンどろぼう」が現れたり、パンではないキャラクターの「おにぎりぼうや」が登場したり。「パンどろぼう」の世界は、思いがけない広がり方を見せている。
「パンどろぼう」というユニークな主人公のアイディアはどのようにして生まれたのだろう。
「『パンの話で何かできませんか』というのが編集者さんからのお声がけでした。打ち合わせのときに私がお渡ししたのが、シロクマくんがパンをかぶって逃げている絵が入った名刺で、その絵のタイトルが『パンどろぼうの結城さん』だったんです」