尹政権が誕生して以来、原発政策には揺り戻しが起きていて、処理水放出についても肯定し、大統領は「1+1を100と言う勢力と私たちは闘うしかない」と、科学を重視する姿勢を示している。潘氏の発言はこうした流れから出てきたものと考えられるが、ここには別の意図も見えてくると崔氏は指摘する。
「潘氏は国連事務総長を退任後、2017年の韓国大統領選に出馬しようとしました。世論調査では文在寅氏を抜いて支持率1位になったが、文在寅支持派から猛烈なバッシングを受けて支持率が下がり、出馬を諦めたという経緯があります。だから、今回の発言には文在寅批判のニュアンスも感じられますが、ここに来てこうした政治的な発言をし出したのは、もしかしたら2年後にスタートする次の大統領選出馬を意識してのことかもしれません」
韓国では絶大な人気を誇る潘氏だけに、ありえない話ではないかもしれない。
◆取材・文/清水典之(フリーライター)