season2第3話ハロウィンパーティー後に（『きのう何食べた？ season2』公式Xより）
シロさんとのやり取りでは、甘えたような声のトーン、イントネーションの変化や語尾の伸ばし方で、感情や気持ちの変化を表している。それ以上に表情の変化は多彩だ。喜び、悲しみ、怒り、恐れ、驚きと様々な感情を顔の向き、顔の角度、眉毛の動かし方、眉間のシワ、目尻の動き、頬や口角の上げ方、口の開け方から口の形、目の開き方や瞬き、目線や目の色、鼻の穴の大きさにまで微妙に変化させて表現している。そんなケンジはシロさんの仕草や行動を、つぶさに見ながら彼の気持ちを察知しようとする。
西島さん演じるシロさんは、そんなケンジの様子にあれこれ思い考えながら、自分の気持ちや感情を口にする。表情だけでなく、ケンジの置かれた状況を理解しようとその感情を読みといていく。シロさんはといえば、ケンジに比べると仕草や表情の変化が少ないため感情の露出度が低いのだが、その分は言葉や行動で補っている印象だ。2人のそんなやり取りにほのぼのしたり、微笑んだりできるのは、心理学でいうところの「他者理解」と「共感性」が細やかに描かれているからだろう。他者理解はその文字のごとく、他者の心の状態や感情を認識し、推測して理解しようとするもので、共感は相手の感情を自分と同じように感じること、他者の感情を共有することである。
人は相手の気持ちや感情を理解するとき、仕草や表情を重要な手掛かりにする。だが日常では、その仕草や表情も状況次第で意味が変化するものだ。相手の感情や気持ちをより深く理解するには、状況も含めて相手の感情を理解する必要があるのだけれど、相手をよく見ていないとそれはできない。互いの心がすれ違いそうになっても、そのまま放置せず、相手をきちんと見るというパートナーとよい関係を築くための基本が、このドラマのキモだろう。
物価高騰のためseason2で月の食費は3万円に（『きのう何食べた？ season2』公式Xより）
