芸能

ドラマ『きのう何食べた?』、”令和の夫婦ドラマ”との決定的な違いとは?

『昨日何食べた』

今やシリーズ化している『きのう何食べた?』(公式HPより)

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、深夜ドラマ『きのう何食べた?』で描かれている「他者理解」と「共感性」について。

 * * *
 俳優・西島秀俊さん(52才)演じる料理上手で几帳面で倹約家の弁護士・筧史朗、通称シロさんと、その恋人で俳優・内野聖陽さん(55才)演じる陽気で人当たりの良い美容師・矢吹賢二、通称ケンジの2人の日々の生活を、食を通して描いた『きのう何食べた?Season2』(テレビ東京系)。同性カップルのリアルな毎日が描かれているこのドラマ、見ている人たちにほろ苦くもあたたかいと感じさせるのは、互いに対する「共感性」があるからだと思う。

 令和になってから、キュンとさせる素敵な恋愛ドラマや泣ける恋愛映画はいくつも作られてきた。だが夫婦関係を描いたドラマとなると、すれ違い、家庭内別居など、心温まる雰囲気とは縁遠いものが増えてきた気がする。そんな中、相手を思いやり、わかり合おうとする気持ちがストレートに描かれているのが『きのう何食べた?』だ。

 2019年にSeason1放送された『きのう何食べた?』は深夜ドラマの枠ながら、X(旧Twitter)の世界トレンド1位、見逃し配信の再生数が全12話で100万再生超えという大ヒットとなったドラマだ。原作はよしながふみ氏の同名の人気漫画で、ゲイであることを隠して生きているシロさんと、職場でもゲイであることをカミングアウトして生きているケンジのリアルな暮らしや、食費を月2万5000円で賄おうとする日々の食卓が描かれている。2021年には映画化もされ。こちらも大ヒット。同性カップルならではの問題にも次々とぶち当たるのだけれど、その度にお互いを思いやり、わかり合おうとする様子にほっこりさせられる。

 中でもSeason1から話題になっていたのが、内野さんの演技。ガッチリした体格にきりっとした顔つき、硬派な印象の内野さんの立ち居振る舞いが印象的だ。ゲイであることをカミングアウトしているケンジは、表情や仕草、口調など、どれをとっても柔らかな雰囲気を感じさせる。肘や膝を内側に倒すような動かし方や、手首や指の細かな使い方など、ロマンチックなことが好きなケンジの気持ちを反映したフェミニンさがにじみ出ている。見た目とのギャップがあるはずなのだが、そこにわざとらしさはなく、その仕草は自然でさりげない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

結婚していたことがわかった蝉川と久保(時事通信フォト)
【松山英樹の後継者が電撃婚】ゴルフ蝉川泰果プロが“水も滴るCM美女”モデルと結婚「ショートパンツがドンピシャ」
NEWSポストセブン
80年代のアイドル界を席巻した
小泉今日子、中森明菜、松本伊代、堀ちえみ…令和に輝き続ける「花の82年組」 ドラマや音楽活動、現代アーティストとしても活躍中
女性セブン
目撃されたニセ警備員️(左)。右は看護師のコスプレで訪れていた女性たち
【渋谷ハロウィン】コスプレ女性をナンパする“ニセ警備員”が起こした混乱「外国人2人組が交番に連れていかれた」軽犯罪法違反に該当する可能性も
NEWSポストセブン
高市早苗氏が奈良2区に当選(写真/共同通信社)
〈自前のスープラ飾ってあるの草〉高市早苗が衆院選「当確発表」に映り込んだマニア垂涎「真っ白なスポーツカー」の正体
NEWSポストセブン
現実的な価格のホテル空室が見つからない(イメージ)
《外国人観光客が増加》日本人のホテル難民が大量発生 空き部屋があっても「スイートルームしかない」「大阪出張に和歌山のホテル泊」
NEWSポストセブン
刑務所で受刑者は反省するのか?(イメージ)
「後悔はするけれど反省はしない」「今度は捕まらないようにしようしか考えていない」元受刑者が語る刑務所で出会ったヤツら
NEWSポストセブン
“保育士中心チーム”をうたう「ビオーレ名古屋(Viore Nagoya)」2022年1月には、愛知県内の芸能プロダクションとパートナー契約も結んでいる
《SNSで大バズり》「インスタでは日本一」目前の”保育士中心”女子バレーチーム カワイイ売りの評判に「女を出してやっているわけではない」「選手がトントン飛びながら回っただけで…」
NEWSポストセブン
角川歴彦氏(左)と『人質の法廷』の著者・里見蘭氏が人質司法について語り合う
《東京五輪汚職で226日勾留》KADOKAWA元会長・角川歴彦氏が体験した“人質司法”の真相 小説『人質の法廷』著者・里見蘭氏と対談
週刊ポスト
長いシーズンを乗り越えた大谷、支えた真美子夫人(時事通信フォト)
大谷翔平、ドジャースタジアムへの出退勤のポルシェ運転は真美子夫人 常にバックで駐車する生真面目さ
女性セブン
”指ハート”をキメるアイドル時代の久保田陸斗容疑者(21)。首都圏で多発する強盗事件3件の実行役とみられている
「グループでも群を抜いて売れていなかった」『闇バイト』実行役は“メン地下”アイドルだった久保田陸斗容疑者(21)カネに困っていて「おバカキャラ」証言
NEWSポストセブン
泥酔して転倒する女性
【渋谷ハロウィン】「日本語で叫ばれてもわからない」下半身丸出しで「ギャー!」嬌声を上げる外国人女性も…深夜の道玄坂で起こっていた「飲酒狼藉」
NEWSポストセブン
あごひげを生やしワイルドな姿の大野智
《近況スクープ》大野智、「両肩にタトゥー」の衝撃姿 嵐再始動への気運高まるなか、示した“アーティストの魂” 
女性セブン