「いつか死人が出ると思っていた」(ホストクラブ関係者)──凄惨な事件は静岡市内の繁華街にあるホストクラブの従業員寮で起きた。今年9月、ホストクラブに勤務していた大学生・太田琢巳さん(23)が同寮の浴槽で亡くなった事件で、静岡県中央署は傷害致死の疑いで10月25日までにホストクラブの従業員を逮捕した。NEWSポストセブンが複数のホストクラブ関係者を取材すると、亡くなった被害者への集団リンチ、強制わいせつなど、日常的に暴行が行われていたことがわかった。【前後編の前編。後編から読む】
逮捕されたのはホストクラブの実質的な責任者だった海野智哉(30)、弟の海野和哉(28)、高野稔基(26)、神谷勇輝(23)、渡辺寛之(30)、加藤雅人(29)の6人。亡くなった太田さんは、約1年ほど前から責任者を務める海野容疑者のホストクラブで働き始めていた。同ホストクラブを知る関係者が打ち明ける。
「海野智哉が“マサト”という源氏名で店の代表をしていた。海野の絶対王政のなか、誰も逆らえず、従業員は従うしかない構図が店にはあった。海野は従業員たちをわざとケンカさせて、その様子を見ることを好んでいた。『先輩をイジッて来いよ』と後輩ホストを煽り、寝ている先輩ホストを殴らせたり、灰皿で殴打させたりしてケンカするのを楽しんでいたそうです」
琢巳さんは当初、大学在学中だけホストをしているようなバイト感覚で働いていたという。ホストクラブのある客は「彼は純粋な性格だったゆえに、リンチの標的となってしまった」と、語る。
「お店では、シャンパンコールの際にお客さんから指名を受けたホストは、そのお酒を絶対に飲まなければならないという鉄の掟があります。海野さんは『琢巳を酔わせると面白いから』という理由で営業中に従業員に指示して、お客さんのシャンパンコール時に、わざと琢巳さんを指名させて毎回テキーラ10杯などを飲ませていました。酔い潰れた琢巳さんが倒れてもホスト2人で羽交い絞めにして無理やり立たせて飲ませ、彼が吐いても『指名された分だけ飲み続けろ!』と、それが当たり前となった異常な空間でした」