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ヤミ金業者にカネを借りて返さなかった人たちの末路

金を借りるのもネットから、追跡され報復されるのもネットから。X(旧ツイッター)上で融資を持ち掛ける投稿(イメージ、時事通信フォト)

金を借りるのもネットから、追跡され報復されるのもネットから。X(旧ツイッター)上で融資を持ち掛ける投稿(イメージ、時事通信フォト)

 実は、青木さんがショックを受けた掲示板は、「悪者情報共有」とか「犯罪者告発掲示板」といったタイトルでネット上にいくつも存在している。そこには「金を返さなかった」「パワハラの常習者だ」として、何人もの人間が実名と顔写真付きで掲載されている。中には、青木さんの妹のように半裸や全裸姿で免許証を持っている女性や、両親の住所や名前、生年月日、子供の情報まで書き込まれている投稿もあり、人権侵害以外の何ものでもない。さらに掲示板には、こうした投稿を煽るように「どんどん犯罪者の情報を書き込もう」という趣旨の文言も見受けられた。

 私刑でしかないこれらのネット空間は、そこに掲載されているのが全くの他人であってもあまりに酷く、嫌悪しか覚えないのが正直なところだが、それでも存在するというのは、やはり一定の需要めいたものが存在するのだ。

告発系掲示板、告発系SNSアカウントの「中の人」

 かつて、架空の投資詐欺話で大損をしたという神奈川県在住の自営業・森田幸司さん(仮名・40代)は、こうしたサイトについて、手放しで絶賛する。

「最近はネットやSNSを使った詐欺が非常に多く、騙された、金を取られたと警察に駆け込んでも、個人間の金銭の貸し借りだからと対応してくれないパターンがほとんど。そういう詐欺があちこちで起きすぎているのに警察が動かないとなれば、被害者が頼るのはこうした掲示板か、今はやりの”私人逮捕系YouTuber”しかいません。彼らに頼って金が戻ってくる可能性は少ないかも知れませんが、相手を晒すことで確実なダメージが与えられるし、こちらの溜飲もいくらか下がる」(森田さん)

 とはいえ、こうした掲示板書き込みのほとんどが、逆に発信者が違法性を問われるかもしれない。明らかな犯罪を今目の前で起きていない限り、「怪しいと」「疑わしい」というだけで名前や住所を晒して糾弾すれば、逆に糾弾した側が法的な責任に問われる可能性は高い。確かに被害者の溜飲は下がるだろうが、金が返ってくる可能性が少ないことを考えれば、この「晒す」側も、相当なリスクを背負うことになる。

 そもそも、誰がこれらの掲示板を運営しているのか。以前、無届けで貸金業務を行ったとして逮捕された経験がある、都内在住の会社経営・U氏(50代)が打ち明ける。

「告発系掲示板や告発系SNSアカウントは、実はSNSを使ったヤミ金業者の関係者が作成していました。金を借りたのに返さない客への脅しでしたが、その後、担保が免許証や学生証だけでなく、女性であれば裸の写真なども要求するようになった。万一飛んだり、バックレたりしたら、どうなるかわかるよね?というワケです」(U氏)

 U氏自身も、こうしたアカウントの「中の人」と、SNS上で情報交換をしたこともあるという。

「コイツが飛びやすいとか、コイツはうちにも(金を借りに)来たとか、そういった情報共有をしましたね。あとは、担保の写真や映像の売買もあり、それらはネット上のアダルトサイトに流されたり自由に使われます。相手は借金で飛んだ(※逃げた)奴、ということで、回収が終わったとしても写真や映像は好き放題にやられる」(U氏)

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