「前回と明らかに違うのは、悲壮感がないというか、笑顔が多くなった。前回は肩肘張って、ピリピリしたところが常にあったが、今年は角が取れてきて、にこやかにコーチたちとしゃべっている姿が多く見られます。年齢がそうさせているのか分かりませんが、前回はベンチではほとんど会話がなかったですからね(苦笑)。喜怒哀楽があるというか、難しい顔ばかりしていた前回に比べ、2回目ということで肩の荷を下ろしている。最初から『やっても2年や』と言っていましたからね。そういう意味では気楽にやれていると思います」
そうした岡田氏の変化について、前出・江本氏は「評論家をした10年間が大きかったんでしょうね」と語る。
「岡田は私みたいに遠慮深くないし、素直な男なので、評論家になった当初は好き勝手なことを言っていました。もちろん正論なんですが、それで敵ができたりするわけです。ところが、だんだん分かってきたのか、状況を見てしゃべるようになった。我を通すのはよくないと悟ったんでしょう。『岡田語録』のようなうまい言い回しも含めて、上に立つにはこういう配慮がいるというのを学習したのだと思います」
いよいよ始まった大舞台で、1985年以来の栄光を掴めるか。「丸くなった」岡田氏のもとで、選手たちの躍動に期待がかかる。